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安全の為に ページ17

ゆっくりとまぶたを閉じて唇を重ねにいこうとした時だった。




『皆様、只今シートベルト着用のサインが点灯しました。シートベルトをしっかりとお締め下さい。』




「っ!!」




玉「!!」



機内に女性のアナウンスが響き渡って、ふたりとも飛ぶように勢いよく離れた。




あっ…ぶねー…。



全力疾走したあとみたいにバクバクと心臓が音を立てる。



やばかった。
あのままアナウンスが流れなかったら…。



あと少しで触れそうだった唇を手の甲で覆いながら、ふと我に返る。



あれ?俺、今…残念がってる。


あのままAちゃんに触れたかったって思ってる…。




隣の席で首まで真っ赤にして俯いてるAちゃん。



さっき、目…閉じたよね?


…もしかして、Aちゃんも同じ気持ちでいてくれたの?



あんな反応されたら…俺、ほんとに期待しちゃうかもしれないよ…。




じっと見つめるけれど、彼女はこちらを向いてはくれない。




玉「…シートベルト、締めないと。」





「あっ、うん…。」




お互いそれっきり黙り込んでしまう。




くそ…なんだコレわかんねーって!




シートベルト締めないと、なんて、何でもなかったように言っておきながら緊張でベルトがうまくはまらない。




焦りながら隣を盗み見るとAちゃんも赤い顔のままベルトを手にしてぼんやりしてた。




これ…ひょっとして本当にチャンスあるの…?


いや、まさか…そんなわけないよ。




…きっと。




むくむくと湧き上がる淡い期待を無理やり封じ込めるように、カチリとベルトを締めた。

複雑な胸のうち→←伏せられたまつ毛



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HRS(プロフ) - 誤字脱字直しました。渉「」→横「」、ミツ「」→北「」に手直し済みです。 (2014年11月3日 23時) (レス) id: 46edfaf00b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HRS | 作成日時:2014年10月30日 12時

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