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必然に重なる手 ページ13

それから、携帯を取り出してアッと小さく声を上げた。




「な、なに?」



思わず私も携帯を覗きこむ。




あれ?真っ暗だ。




不思議に思っていると、ため息とともに玉森くんの一言。




玉「俺、充電切れだ。」




「そうなんだ、じゃあ私の携帯で…ってあれ?」



カバンから携帯を取り出して開くと、藤ヶ谷くんからの着信が8件とメールが2件。


着信に至っては2時間も前にかかっていたやつ。



いやな予感が頭をよぎる。




「玉森くん…私たち、置いて行かれたみたい…。」



メール画面を見せながら、こわごわ言う。




『今どこ?タマと一緒?もう飛行機出るぞ!!』




携帯を見て固まる玉森くん。




玉「う、そだろ。ちょっと貸して。」



私から携帯を受け取り、もう1件のメールを開く。




『次の便で絶対来いよ!タマ見つけたら連れてきて!』




玉「次の便…。」




玉森くんがそうつぶやいた時、北海道行きの飛行機がまもなく出るってアナウンスが耳に入る。




「玉森くん!こ、これだよ!」




玉「マジかよっ!」




慌ててふたりで立ち上がって荷物をガラガラ転がしながら走る。




玉「あれに乗るから!」




とっさに手を繋がれて鼓動が跳ねた。



「は、はいっ。」



勢いよく返事をするけど、私の視線は繋がれた玉森くんの細くて綺麗な指に集中しっぱなし。




触れているところからどんどん熱くなるような感覚がする。



玉森くんはただ飛行機に間に合うように
手を引っ張ってくれてるだけ。


そう思うけど、心は素直で嬉しくてたまらなくて、思わず頬が緩む。



私、この手を離したくない…。



ギュッと握り返す。




玉「っ…!」




緩んだ顔を隠そうと俯いてた私は、赤く染まった玉森くんの耳には気が付かなかった。

HRSより→←素っ気ない彼



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HRS(プロフ) - 誤字脱字直しました。渉「」→横「」、ミツ「」→北「」に手直し済みです。 (2014年11月3日 23時) (レス) id: 46edfaf00b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HRS | 作成日時:2014年10月30日 12時

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