kiss me again～遠回りの恋～vol.4 (ページ1)

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夏実の電話ページ1

Aside

玉森くんの顔を見た瞬間、やっぱり私はこの人じゃないとダメなんだって痛烈に感じた。

思いを伝えたくて、玉砕覚悟で口を開いたけれど、玉森くんは聞きたくないって走って去っていった。

寒空の下に取り残された私は、どうしていいかわからずに立ち尽くす。

すると、カバンに入れてた携帯がプルルと音を立てた。

夏『A！！い、今ニュース見たけどあんた大丈夫なの！？ケガは！？今どこなのっ！』

通話ボタンを押すやいなや辺りに響き渡るくらいの声量で夏実がまくし立てる。

「だ、大丈夫。ありがとう夏実。」

キーンとする耳を押さえながらそう返すと、電話の向こうで長いため息が聞こえた。

夏『もーほんと心配したじゃん…。無事でよかった。』

夏実の声が少し震えてて、ほんとに心配してくれてたんだとわかる。

「うん…ありがと。」

夏『ニュースで変質者は男性に取り押さえられ～って言ってたけど、男性って誰？』

「えっ。」

胸がドキリと音を立てる。

夏『ん～？その反応は、さては気になってるふたりのどっちかだな？』

私の上ずった声を聞き逃さなかった夏実が笑いを含んだように言う。

うう…夏実ってば変に鋭いところあるんだから。

「あのね、今日一日で色々あって…。」

夏『待って！直接会って話そうよ！』

「あ、でも私の部屋、検察官みたいな人たちが写真とか収めるから入れないんだよね。」

夏『じゃあうちおいでよ！泊まりで話そう！パジャマとかも貸すから。今からそっち行くからね！』

「あっ、うん…。」