スリザリンの変わり者 (ページ10)

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箒にかける呪文ページ10

選手入場と共に、会場は大きく沸いた。

スリザリンの観戦席にいるAもその熱気につられ、歓声を上げながら手を叩いた。

「さあ皆さん、正々堂々闘いましょう」

マダム・フーチのホイッスルを合図に試合が始まった。

歓声、箒の風を切る音、マイケル・ジョーダンの少々言葉が汚い実況、マクゴナガルの怒号、また歓声。

「クディッチって素敵ね！」

「ええそうね！あ、スニッチだわ！」

Aの指差す方を、周りが一斉に振り向いてどよめいた。そこには金色に輝く小さなボール＿＿スニッチが羽ばたいていた。

「スニッチだ！」

ハリーとスリザリンのシーカー、ヒッグズは同時にスニッチの方へ飛んだ。だが、マーカス・フリントがハリーを妨害し、グリフィンドール生は口々に非難の声を上げた。スニッチはどこかへ消えていった。

グリフィンドールのフリーシュートの後、試合が再開した。

暫くして、Aは異変に気が付いた。ハリーの箒が滅茶苦茶に動いているのだ。

サッと観戦席に目を配ると、二人の男がハリーの箒を瞬きせずに見つめていた。二人とも何やら呪文のようなものを呟いている。

「クィレル先生に、スネイプ先生……？」

「どうしたのよ、A」

「私、ちょっと行ってくるわ」

パンジーの呼び止める声を背中で聞きながら、二人の教師の下へ向かった。

教師の観戦席の下で、Aはハーマイオニーとロンに出会った。

「A！あなたも気づいたの？」

「そうよ、二人もそうなのね。ハーマイオニー、何か良い案はある？」

「ええ、勿論」

ハーマイオニーはスネイプのローブの裾に杖を当て、先から炎を出した。周りの教師たちは慌てたように火を消そうとし、クィレルもスネイプもハリーから目を離した。

「あなたって本当に素晴らしい魔女だわ」

観戦席に戻った頃には、試合は終わっていた。

「どこに行ってたのよ！」

「ごめんなさい、試合はどうなった？」

「ポッターがスニッチを取ったわ。『口』でよ？汚いったらありゃしない」

イーッと悔しそうに顔を顰めたパンジーを見て、Aはクスリと笑った。