スリザリンの変わり者 (ページ19)

今日:5 hit、昨日:18 hit、合計:34,382 hit

小鳥ページ19

四階の部屋にて。ハリー、ロン、ハーマイオニーがネビル達やフラッフィー、『悪魔の罠』を切り抜けた先に、Aは立っていた。

彼女は『先に行っています』と書いたメモを四階の廊下の壁に貼り付けていたのだ。

「私が来た時には既に誰か来ていたみたいだったの、三人とも無事に来られて良かったわ。この先にも何かがいるみたい、虫のような……飛んでいるのかしらね」

Aは首を傾げながら言った。確かに、奥の部屋からはキラキラとした羽音が聞こえてくる。

進んだ先の部屋では、無数の小鳥が舞っていた。宝石のような光を発し、部屋いっぱいに飛び交っている。その先には分厚い木の扉が見える。

「僕たちが部屋を横切ったら鳥が襲ってくるんだろうか」

「多分ね。そんなに獰猛には見えないけど、もし全部がいっぺんに飛び掛かってきたら……でもほかに手段は無い。僕は走るよ」

不安そうなロンの声に答えたハリーは、顔を覆い駆け出した。しかし、鳥たちは襲い掛かってはこなかった。ただし、押しても引いても、呪文でさえも扉を開くことはできなかった。

「鍵だわ。飛んでいるのは鍵なのよ。それで、この中のどれか一つでだけ扉を開けるんだわ」

Aは羽のついた鍵を睨みつけながら言った。ロンは鍵の形を調べて叫んだ。

「でも、何百羽もいるよ！」

「大きくて古い鍵を探すんだ。多分取っ手と同じ銀製だ」

空中を指で刺しながら鍵を探すと、一羽、ふらついた飛び方をする鍵を見つけた。羽は歪に曲がり、持ち手もやや錆びている。

宙に浮かぶ一本の箒にハリーはまたがり、その鍵目指して飛躍した。

すると、何百羽という鍵がハリーへ向かって猛スピードで飛び掛かった。それらを上手く躱しながらハリーは大きなカギを掴んだ。

「やった！ハリー、急いで！」

ハリーは急降下し、鍵を穴に差し込んで回した。四人が部屋の中に駆けこんで扉を閉めると、無数の何かが突き刺さるような嫌な音がした。

安堵のため息を漏らした四人が振り向いた先には、大きなチェス盤が置かれていた。