社畜根性って中々取れないよね ページ48
織田作さんは少し考え、指を折りながら答えた。
「マフィア傘下の商店街で起きた盗難事件の調査。近所の小学生が犯人だった」
商店街で盗難事件という何やら難しい云葉が前置きとして出て来たものの、直後に小学生という微笑ましい単語(?)が出て来て思わず噴き出す。その後も織田作さんの口からは信じられない様なお話が出て来る。私はずっと悶絶していた。
太宰さんがキラキラと少年のように目を輝かせながら、「真剣に頼むのだけど、私と仕事交換しない?」と云った。私もと身を乗り出せば、彼は表情を変えずに「無理だろう」と云う。
「無理だろう」
『うわーんだってえ! この人非道いんだもん! 変わって下さいよぉ!』
「ねェ本人此処に居るんだけど」
若干傷ついたようにちぇ、と舌を鳴らした太宰さんは、「じゃあせめて、次の仕事は一緒に連れていってよ。邪魔しないからさ」と云う。私は勿論先程のは冗談の心算で云ったが、彼の場合は全くもって冗談に聞こえない。というか確実に本音だろう。自分が死ねれば、役職なんて全く関係ないと思っている人だ。
お勧めしませんね、と私と安吾さんの声が重なる。
「犯人捜しや失せ物捜索はともかく、人間関係の悶着に太宰君を連れていっても、盛大に延焼するだけです」
「私の所為で延焼する人間関係って何か素敵」
「ほらね」
安吾さんがもはや突っ込む気力もないというように、自分の前に置かれているグラスを呷った。私も同じく一気飲みを行う。原作でこの人達と真面に会話できていた安吾さんが不憫過ぎてならない。
太宰さんは「チェスや碁は簡単すぎてつまらないしさ」と云った。取り敢えず書類仕事をしてくれないだろうか、全部私に回ってきていることをこの人は知っているんだろうか。
金槌はあるか、と織田作さんがマスターに問い掛けた。勿論そんなものあるはずがなく、莫迦みたいな会話をし始める目の前の光景に、安吾さんは頭が痛いと云って顔を押さえる。働き過ぎだと私達の云葉を聞けば、物凄い恨めしそうな顔をされた。
「どうも僕はここで無償残業をしているようだ。今日は帰りますよ」
何だ、帰っちゃうの、という太宰さんの問いには、彼は苦笑しながら頷くことを肯定とした。ご馳走様と告げながら、荷物を手に取って立ち上がった。
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います!其方もお体に気をつけて下さい! (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい!(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います!此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします! (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年2月24日 21時