寝不足は天才も惑わす ページ30
腕を引っ張られ、ふわりと良い香りに包まれた。背中に体温が感じられ、お腹に腕が回される。重力が横に……、じゃなくて、私が寝転んでいるのだった。正確には、寝転がされたというべきだろうが。
え、と言葉──というより、意味の無い単語が唇から零れた。何、だ。これは一体。
──抱き締められているのだ、ろうか?
「……凪さん、暖かいですね」
『ひゃっ……!?』
耳元でいきなり囁かれ、変な声が出る。意図せぬ声に私の体温が一瞬にしてグンと上がり、ぶわっと顔に熱が広がった。
くつり、と喉の奥で笑うような声が後ろで響く。あ、安吾さ、と震えながらに彼の名を呼べば、耳の後ろに吐息がかかって体が跳ねた。
「心臓、バクバクしてますね。……耳、弱いんですか?」
心底楽しそうに耳元で囁かれ、声が出そうになるのを必死で抑える。逃れようと身を
と云うか片言の安吾さんがとっても可愛い。こんな状況じゃなけりゃ録音してたのに!
『ひぁッ』
いきなり耳を甘噛みされる。声が漏れた。体温がどんどん上がって行く。無理だ無理だ、いや何がって全部が! 何だこれ、つか何でこんなこと、この人徹夜が続きすぎて思考力が低下し過ぎてるじゃんか!
舌のようなものが耳たぶを這って、喉が引き攣った。
……しかしそれ以上此処で進むことはなく、彼は盛大に溜め息を吐いて、少し体を離す。
「──僕の鋼の理性に感謝して下さい。他の人だったら確実に襲ってましたよ」
『襲っ……、え、えぇ、でも』
うだうだと言う私に、またもや盛大な溜息。
「これだから」、と顔は見えないが多分物凄く呆れたような表情で言っているであろう言葉に、普通だと思いますがと噛みつきそうになったのを寸でで堪えた。もう一度あんなことされたら堪ったものではない。
『と、取り敢えず放して欲しいで』
「嫌です」
最後まで云い終わってないのに遮られた。引き攣った表情をすれば、「もう少しだけ」と、眠そうな声が後ろから聞こえた。そのまま途切れた声に、何度か彼の名を呼んでも返事はない。
身体は何故か動かないので、必死に首だけ動かして確認すると、安吾さんは寝ていた。
……ヤバい超可愛いな。
恋愛とシリアスを同レベルにしてしまうのはおかしいだろうか→←連絡先交換、その伍
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います!其方もお体に気をつけて下さい! (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい!(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います!此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします! (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年2月24日 21時