織田作にドッキリとか絶対無理じゃね？ と思った今日この頃。【黒の時代】

連絡先交換、その伍 ページ29

『あーんごさー、……ん』と、途中で語尾が途切れた。私が呼びかけたことで彼も此方に気づいて、「凪さん、如何して此処に？」と不思議そうに首を傾げた。えぇ、と引き攣った声が漏れる。

いや、その、と言葉を濁す。携帯買ったんで、と云えば、連絡先交換ですか、と微笑まれた。やだイケメン。違うそうじゃなかった。いやそれはそうなのだが、今安吾さんに一つ訊きたいことがある。



『何徹目ですか？』

「５ですが？」

『今すぐ休んで下さい』



大丈夫ですよ、隈は消えてからが本番です、と笑う安吾さんに此方は一ミリも笑えない。いや今の彼の顔物凄いことになってるから見てみ。隈ってレベルじゃなくて油性ペンで塗りたくられたみたいになってるんだけど。まさかの平日全部ぶっ通し起きてるとは、予想の斜め上過ぎる答えである。


しかし私は何とか理解に努めた。というか此処ブラック企業過ぎやしないか。いや慥かにブラックだがそういう意味ではない。

安吾さん、と一言声を掛ければ、首を少し傾げられた。



『社畜ですか？』

「社畜です」



わぁお。即答かよ。



「はは、以前は三徹目でダウンしてたんですけどね。いやぁ、素晴らしい進化ですよ」



それはダメな方の進化であることを彼に教えてあげた方が良いのかどうか教えてくれ。

取り敢えず譫言(うわごと)のように仕事が、と呟き続ける彼を無理に引っ張って仮眠室まで連れて行く。太宰さんが此処に入り浸っていた(もとい仕事から逃げていた)ので場所は知っている。ベッドですよー、と云えば大人しく入ってくれた。可愛いかよ。



「いざ寝るとなると、あまり眠れないものですね」

『そうなんですか？』



私2徹目迄しかした事無いから、そういうのは分からない。学校の課題が終わった瞬間気絶するみたいに眠って後日遅刻したことをよく覚えている。……記憶消したい。



「凪さん。布団が冷たいです」

『そりゃ、今入ったばっかりなんだから当たり前でしょッ…!?』




ゆるり、引っ張られる。

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