織田作にドッキリとか絶対無理じゃね？ と思った今日この頃。【黒の時代】

連絡先交換、其の壱 ページ25

やーつがーれくーん！ とその背中を見るなり抱き着こうとすれば、「僕(やつがれ)の名はやつがれではないぞ」と冷徹に返されながらひらりと避けられた。



『いややつがれ二回云ってる！』


ぶははっと女子力が微塵も存在しないような声で大爆笑してやれば、視界の隅でやつがれ君の服が動いた気がしたので速攻で謝った。人間自分の命が一番大事である。


……え、何時の間にこんな仲良くなってたのかって？


いやさ、あの一件があった後、やつがれ君が謝ってくれたんだよ。コッチとしては別に大丈夫だっんだけど、何でも云うこと聞いてくれるって云うから友達になって下さいって云ったらなってくれたんだよね。ツンデレにも程があると思うよ。


でさ、前に、首領(ボス)が携帯電話くれたから、連絡先を交換しようとね。

携帯持ってるかと問うと、彼は大人しく自分の携帯を差し出して来た。彼らしく真っ黒であるそれに苦笑しながら受け取ろうとすれば、何故かひょいっとそれを高く掲げられる。というか羅生門で天井近くに持っていかれている。

私が精いっぱい手を伸ばしても届かない……、というかかなりの高身長でなければ届かないレベルである。



『……何してるのかな君は』

「これぐらいも取れないのか？」



ぴょんぴょんと蛙のように飛び跳ねる破目になった私。それを数秒眺めたやつがれ君は「ふっ」と笑った。こいつ鼻で笑いやがった。太宰さんにチクってやろうか。(クズ)

それから「僕(やつがれ)のではなく、お前ので良いだろう」と云いながら私が片手に持っていた携帯を奪い取ると、あっという間にそれを操作して連絡先交換を済ませてしまった。


私は黙ってそれを見つめて、それからぽつりと『機械使えるんだね』と呟いた。



「喰い殺されたいか？」

『暴力反対』



やつがれ君は無言で羅生門を展開。謝り倒しました。

いやでも私あれなんだよね。滅茶苦茶機械に嫌われてるんだよね、ただしパソコン除き。ラジカセとかCDとかその他諸々扱えません。昔無理に扱って学校の備品をぶっ壊した時からトラウマです。


さて、とようやく許してくれたやつがれ君の背中を見て考える。休日を有効活用しなければ。

案外私も暇じゃない。

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