にちじょうちゃめしごと。【WT】【短編集】 (ページ21)

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雷がうるさいんだ【ヒュース】ページ21

昔から雷はどうしても苦手だった。

遠征とかで相手国の奴等の血を見ても、

仲間の痛々しい姿を見ても、

その時は嫌な気分になっても

トラウマにはならなかった。

ワタシの唯一の弱点。

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ランバネインが雷の羽を使って

あっちこっち飛び回る。

なかなかファンタジー感がある光景だが、

それは空のみを見ればの話だ。

地上では爆音がなりやまず、耳を刺激する。

怖い。

爆音が怖い。

ミラ姉様も自分の仕事で忙しい。

戦場で足を止めればやられる。

ワタシの前には敵国のトリガー使い。

まさに今、ワタシに降り下ろされる。

「何をしている！」

瞬間、相手の体と地面がくっついた。

「ヒュース！」

「何が、ヒュース！だ。死にかけてたんだぞ」

ヒュースは主を敬愛している。

例え任務が犬の散歩でも決して手は抜かないだろう。

「…あれが、ダメなの。」

ワタシは楽しそうに飛び回るランバネインを指差す。

ヒュースは呆れたように一つため息を溢し、

自らのトリガーを使ってヘッドフォンを

ワタシの耳に当ててくれた。

ヒュースお手製だ。

「使っとけ。役立たずよりはましだろう。」

そう言うとヒュースは颯爽と

自分の持ち場へ戻っていった。

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「ヒュース、あれでよかったのか？」

ランバネインが豪快に笑いながら

俺に問いかける。

「あぁ、信頼は得た。今後もよろしく頼む。」

良かったんだか悪かったんだか…

と苦笑しながらランバネインは背を向ける。

計画通りだった。

アイツが雷を苦手な事はわかった。

しかし、お前雷ダメなんだな。と言っても

ただの変なやつだ。

だから、自作自演した。

ランバネインのトリガーで怯えさせ、

その後自分が助けて信頼を得る。

結果は絶大だ。

遠征後、俺に話すことが増えた。

俺のトリガーは磁力だ。

いつか引っ張ってくくりつけてやる。

今日は雷雨だ。

扉の向こうから怯えた声が聞こえる。