I will make you happy.【エネドラ】 ページ20
乱暴で傲慢。
目上の者への礼儀もなく。
尊敬とか憧れとかは関係なく。
称号も勲章も彼の前では豚に真珠に等しい。
それでも私は貴方を。
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林檎が好きな彼はよく私に林檎をねだった。
家の庭に林檎の木を植え、
品種改良も繰り返してようやくできた自信作。
彼はウサギの形の林檎を好んで食べてた。
ぶっきらぼうだし、口は悪いけど根はいい子。
私が泣いてるときも、よく隣にいてくれた。
必然のように私たちは結ばれて。
互いの温もりを求めることもあった。
「次の遠征はデカイことやるらしいからな。
返ってくるのまっとけよ?
驚くことしてやる。」
フッと不適に笑って、くしゃっと頭を撫でられた。
黒く染まった片方の瞳も、
強さを示す、長い角も、変わらない笑顔も。
全部が彼で愛おしかった。
遠征の帰りを今か今かと待ち続け、
そわそわと足をばたつかせる毎日。
言いたいことはわかるの。
あぁ、とっても楽しみ。
そう思っていたのに。
「彼なら死んでしまったわ」
言葉通り驚くことが起きた。
冗談には少しひどすぎる。
顔色一つ変えず、彼女が見せたのは
彼の泥の王。
彼の最強の源。
「彼の次にボルボロスが合うのは貴女だったわ。」
形見と呼ぶには少々勇気が必要だった。
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「調子に乗らないでよ?雑魚どもが。」
聞いた話、人格はそっくりらしい。
女版だ、とか
どちらにしろ怖い、とか
言いたい放題言われてしまった。
後でぶっ刺してやるわ。
新たな私になって、目的ができた。
彼の仇をとること。
そして私も彼のもとへ行く。
彼にしか私を幸せにすることはできないの。
「だからお願い。待っていてちょうだい。」
彼と同じになった黒い角は
私がもう長くないことを教えてくれている。
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かなた - 茶飯事をちゃめしごとと読んだことに笑わせてもらいました笑 これからも頑張ってください笑 (2018年5月3日 19時) (レス) id: 1faed93ff6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2017年9月14日 16時