赤リンゴ。毒リンゴ。 2【迅悠一】 ページ18
本来、下界に天使が降りる事は許されない。
ワタシはそれに逆らって、下界に落ちた。
男の子が泣いているのをほっておけなかった。
時代の変化、誤作動。
その結果ネイバーが生まれ、
干渉するはずのない地球と接触してしまった。
多くの人が犠牲になって、
ある男の子は母を亡くし、
またある男の子は姉を亡くした。
ワタシはそれを助けてあげたい。
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下界の食物の味も食感もわからない天使が
唯一食べられるもの。
好んで食べるもの。
それがリンゴ。
下界に植えた苗が大きくなって実になった。
これをユウイチにあげるの。
泣いてるとこなんか見せないで
サイドエフェクトって言う未来に
あっちこっち指図されて
全ての未来の責任を被ろうとする
ユウイチを助けてあげたい。
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あのね、ユウイチ。
これはとっても美味しいリンゴなの。
特別に貰ってきた。食べてね。
「なんだこりゃ。」
ある日家に戻ればからのぼんち揚の箱数個と
林檎と書き置き。
最近ぼんち揚ばっかり食べてたから
なんだか無償に食べたくなって。
しゃくっと一つかじった。
「あ、上手いわ、これ。」
真っ赤に熟した赤リンゴは今まで食べた
林檎の中で一番だった。
夢中になって、食べる俺は
いつしかその林檎の送り主の事を忘れてしまった。
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連れられた先は処刑場だった。
罪は下界に落ち、人間に天界の物を渡したコト。
軽いようでとても重い。
周りの天使は皆、蔑んだ目でワタシを見下す。
でもいいの。
さっき少しユウイチの顔を見た。
はりつめた顔が柔らかくなって
メガネの子となにか話してた。
それだけでワタシは幸せ。
「処刑台に上がれ。」
無機質なトーンの声。
吊るされたワタシの下に一つのリンゴ。
とても青くて美味しくなさそうだ。
処刑人が何かを呟き、手に持つ刀を振り落とした。
リンゴは真っ赤に染まっていた。
「迅さん。それ誰にもらったの?」
「え?…誰かな。とっても可愛い子」
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かなた - 茶飯事をちゃめしごとと読んだことに笑わせてもらいました笑 これからも頑張ってください笑 (2018年5月3日 19時) (レス) id: 1faed93ff6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2017年9月14日 16時