【黒バス】一生言えない恋の話【短編集】

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「･･卒業おめでとう、修造」



「Aも、卒業おめでとう」





夜の便でアメリカに行くから、と部活の集まりは前日に行っていた。

荷造りも終わっているようだが、手続きやらそういう電話やらの関係で、早く家に帰る、と言われて、

告わないけど言いたい私は焦っていた。帰り道だった。


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「･･これが最後の下校になるんだね」


寂しいや。


寂しさは、何度言っても埋まらなくて、寂しいまんま話を続ける。



「･･修造がくれたスノードーム、これからも大切に部屋に置いておくよ」




修造は、おう、うん、そんな相槌を繰り返す。



空が青いことが、余計に寂しさを助長させた。





「…空、青いね」



「…だな」



「…大人になったら、帰ってきてくれる？」




叶うかなんて分からない、ずっと先の約束がしたくて、それがあれば安心して空を見上げることができるような気がして、修造に聞いた。




誰にも分からない。そんな約束。




修造が海の上で、機内で泣いてたら、そういうときは陸の上の私も泣いてるよ。

隣にはいないのに空は同じだなんて、そういう前提で話しているけれど。




「また一緒に、コンビニ寄って帰ろうよ」




“ばいばい、またね”。





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―そうして私たちは、最後の挨拶を交わす。



空の広さはさよならをも覆う。



透明な涙が隠れてしまうくらい、空は青かった。





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