【黒バス】一生言えない恋の話【短編集】

空の広さはさよならを。/虹村修造/転校の話 ページ5

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「･･引っ越し？」



…聞き間違い？


そう耳を疑ってしまうのは、何もおかしなことではない。
齢十四。もうすぐ十五。で、十四、五年間ずぅっと一緒にいた幼馴染、隣の虹村家の修造が“アメリカ”という何とも聞き慣れない言葉を用いて、私に説明………



…いや本当に、今なんて言った？






「･･っだから、卒業と同時にアメリカに引っ越すことになったんだよ...」




何度も言わせんな、と、しばらく俯いたままだった修造が顔を上げた。


ぐっしゃぐしゃの顔。それに、何か言ってるけど何も聞き取れないくらいの涙声。


修造が泣いているところを見るのは久しぶりで、



子どもみたいに一緒になってわんわん泣くのも、久しぶりだった。





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「っあー……」



「…修造、久しぶりに泣いたね…」



「それはAもだろ..」



そりゃ泣くよ、そりゃあな、まだ泣けるもん私、俺も気ィ抜いたら涙出るわ。



ずび、という音は合図で、また泣き出す。



なんで泣いてくれるの、って聞きたくて、聞こうとして、困らせそうで、やめた。



私は好きだから泣くんだけど、なんて告白は、引越しの理由を聞いて、本当の本当に、ただただ困らせてしまいそうだったので、絶対にしないでおこうと決めた。



爽やかに、言おうと決めた。



告いたい気持ちには蓋をして。




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