2 ページ35
.
_しばらく続いた沈黙を破ったのは、祥吾の携帯の着信音だった。
部屋に響く機械音は、六度目で鳴り止んだ。
初期設定のままだった。
.
「・・出なくてよかったの?」
「あー、まぁ」
いいだろ、と続く言葉は無く。
再び沈黙に沈み込まれそうになったけれど、今日の無言はどこか落ち着かないから、無理やりにでも話を繋げる。
「・・・バニラのひと?」
「…別に」
「別にってことないでしょー」
ごろりと姿勢を変えたのが、シーツの音で分かった。
あと、まぁ、単純に、遠ざかった匂い。
「今のひと、好きじゃないの?」
「っせえよ、」
余計なことを聞かないと、本音を言ってしまいそうになる。
…でも聞かれたくないことなんだったら、ごめん祥悟。
声に出しては言わないけれど。
質問も答えも、すべてが不自然なまま、会話は途切れないまま。
.
「祥吾にはね、バニラもバラも似合わないよ」
「はあ?…なんだよ急に」
意味わかんねプラス暴言、と悪態をつきつつも、祥吾は言いづらそうに言った。
「……確かに、バラは合わなかったわ」
.
.
―電話に出ないのも、バニラの話を避けたがるのも、ぜんぶ、私が今この部屋にいるからっていう理由だったらいいのになあ…と願うのは心の中で。
ばかみたいな関係から抜け出して、もっと少女漫画みたいな幼馴染になりたい。
「私は無臭だよー」
「あー、確かにあんま匂いしねえよな」
( それは祥吾が纏う香りがつよいだけだよ、 )
心に溜めているものは言わないで、沈めておく。そういう癖。
いつか、祥吾が笑って気付かせてくれたのを思い出した。
今よりもっと、子どものときの話だ。
.
「祥吾はどんな匂いが好きなの?」
考える素振りを見せてから、無臭。
そう言ってくれることを内心ひそかに期待、していた。
.
ラッキーカラー
あずきいろ
44人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沖司ハナ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» 私も箱で好きなので分かります…!!僕司くんも(色んな意味で)突き刺さりますが俺司くんもいいですよね…!!!(*´ч`*) (2018年5月18日 23時) (レス) id: d1c2852cff (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 沖司ハナさん» 涼太も大好きです格好いい 帝光中新旧SF組と大輝と征十郎(俺司)が好き 1番は祥吾様だけど (2018年5月12日 0時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
沖司ハナ(プロフ) - 矢沢さん» はじめまして!! 4時は遅くないですよ!!←(逆に「おはよう」って言ったら超健康的な人で誤魔化せるレベルです!!笑←)) 大好きだなんてめちゃくちゃ嬉しいです…!!ありがとうございます(;;) (2018年4月30日 15時) (レス) id: d1c2852cff (このIDを非表示/違反報告)
矢沢(プロフ) - (めちゃくちゃ)夜分遅くに失礼します。どの話もとても素敵で、もう、大好きです… (2018年4月21日 4時) (レス) id: a47852303b (このIDを非表示/違反報告)
沖司ハナ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» 灰崎くんかわいいですよねわかります!!!(食い気味)← コメントありがとうございます!! 期待に応えられるように頑張ります…!! (2018年4月15日 15時) (レス) id: d1c2852cff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沖司ハナ | 作成日時:2018年3月16日 1時