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脳はクラクラ、負才でバラバラ - (非)日常編 - 1 ページ1



第三章 脳はクラクラ、負才でバラバラ
(非)日常編



月詠くんのオシオキが終わった、その夜。
私は、あまり寝つけないでいた。
一つ目の理由は、頭の内側から叩かれるような頭痛がするから。二つ目は、急に、今まで死んでしまったみんなのことが、フラッシュバックしてしまっていたから。一歩間違えれば、湊さんや月詠くんの場所に、私がいたかもしれない。そんなことを想像すると、背筋がピシッと凍りつくのだ。今回だけじゃない。前の、藍時くんの事件でも、私があの立場になってしまう可能性は十分にあった。

ただ、運が良かっただけ。

咲「はーっ……」

恐怖で鳴る心臓を落ち着かせるため、肺いっぱいになるくらいの空気を吸って、吐いた。
そうすると、幾分か鼓動が和らいだ気がして、少しだけ安心した。

このまま眠りにつけないかな。と思ったが、私の脳がそれを許してはくれない。次々に思い返される記憶たちが、私を寝かせてくれないのだ。

……今日は、寝れないかな。



結局、ほとんど眠れないまま一夜を過ごした。ぼんやりとした頭を必死で働かせて、今日をスタートする。
身支度をして、部屋を出て、食堂に向かう。

そういえば、今日の朝ごはんは誰が作るのだろう。

なんて考えていると、部屋からちょうど出たところの真凜さんと目があった。

咲「あっ……。お、おはよう。真凜さん」
真「おはよう、咲良ちゃん」
咲「……」
真「……」

昨日のことがあったせいか、妙な沈黙が私たちを包む。真凜さんは、いつも通り笑っているものの、それはきっと作り笑顔だ。
私を安心させるため……かは分からないけど、そんな感じの、何か自己犠牲的な目的がありそうな笑顔。

真凜さんも、疲れたらそう言っていいんだよ。と、言った。

……心の中で。

疲弊し切った私には、彼女への気遣いは中々難易度が高かったようで、その言葉を押し殺してしまった。沈黙は、長引くばかり。
それに耐えかねた私にできたのは、

咲「……しょ、食堂。一緒に行かない?」

と、震えた声で言うことだけだった。

真「もちろん。さ、行こ。咲良ちゃん」

にこやかな笑顔付きの、快い返答。
ほっとした私は、全身の力が抜けるような感覚に陥った。
それでもなんとか二本足で立って、私は真凜さんと横並びになって歩き始めた。

脳はクラクラ、負才でバラバラ - (非)日常編 - 2→



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凛導碧(プロフ) - おーすりーさん» ありがとうございますm(_ _)mおーすりー様の居場所を生かすことができ、とても嬉しいです。改めて、お疲れ様でした。 (2022年9月13日 15時) (レス) id: a9aa0fa550 (このIDを非表示/違反報告)
おーすりー(プロフ) - 凛導碧様、改めてありがとうございます。放棄してしまった私が言うのはなんともおかしな話ですが、この作品を生かしてくれて、ありがとうございます。凛導碧も、無理せず、自分のペースで更新していってくださいね。応援してます! (2022年9月13日 12時) (レス) @page37 id: 22a9b8f06d (このIDを非表示/違反報告)
未來。(プロフ) - 私にも出来る事があれば是非お声掛けください…!!作品を綴る事は可能だと思いますので…!! (2022年9月13日 7時) (レス) id: be142694a3 (このIDを非表示/違反報告)
水晶(プロフ) - 私もできることがございましたら是非お声がけください!作品を綴ることはできると思います。 (2022年9月12日 22時) (レス) @page37 id: 001dbf15df (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - リアルが優先になってしまいますが、必要でしたらお声掛けください。比較的作品を綴れるとは思います (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6004fe1c78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おーすりー x他4人 | 作成日時:2022年7月30日 7時

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