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2「俺は誰でもない」 ページ3

- Obito side -


俺は誰でもない。
敢えて名乗るとするなら
トビ、マダラ、そんなところだ

誰も彼も、“うちはオビト”は知らないし
そいつは死んだ。


“オビト”を知ってるやつ?
興味ない。
そんな奴にとっては、ただの英雄なのだから
もう、どうでもいいんだよ……。


こんな偽物の世界は




___


うちは一族虐殺事件の日
俺はイタチに協力した。


実行の直前だった。
知らない娘が俺を見つけ
近づき、手を握ってきたのだ

数秒、わけがわからなかった。
思考が戻ると、そいつに質問していた

「誰だ?」


なぜ握る?
そこまで聞きたいところだった

結局意味のわからないことを答えるばかり。
これから行う殺しの邪魔にならぬよう
幻術で眠らせた。





だが、数日たっても違和感が拭えない
死んだはずの、“あいつ”が
なぜか俺の頭のなかで、
考えを巡らすようになったのだ。


いや。重症なのは
頭のなかよりも、握られた手だ。
仰向けに寝る時は特にそう、
まるで寂しがるガキのように
腕を前にして、何かにすがろうとしていたのだ。

それは無意識で、
気づけば情けなさに苛まれる



俺はあの娘を監視するよう、ゼツに命じた
娘の名はA。
調べれば調べるほど
そいつの持つ力は、とても興味深かった。


一番驚いたのは、輪廻眼の開眼。
こいつの母親が殺されると知ったときには
暁に誘うと決めたが
輪廻眼を持つなら話は変わる
必ず手に入れることにした。



霧隠れから逃げるAを眺める
彼女は海の手前でしゃがみこみ
追っ手に襲われる瞬間も
ぴくりとも身動きしない

なんだ? 諦めたのか?


そこで死ぬのなら
輪廻眼は俺が後でいただく


そう思ったのに、俺は。


Aを襲う忍びたちを皆殺しにしていた



“もう、どうでもいい”

Aがそう言ってるように感じたからだ。
俺と同じセリフ。ならば、
同じ思想を持つ仲間になるかもしれない


助けてやろうと、左手を差し出すも
反応がない。



「お前から握ったことは忘れたのか?」

その言葉で
やっと俺に気づき
何かを決意した表情で
俺の手を取った。


本当にわけのわからない奴。
お前にとって俺はなんなんだ?
俺の何を知っている?
結局俺はこの先も、
Aのことを気にかけてしまうのだろうな……

3「ふたり行動」→←1「悪い知らせ」



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サメ?(プロフ) - 続きがものすごく気になります!!更新楽しみにしてます!! (2022年5月22日 21時) (レス) @page7 id: 9329097f20 (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - 続きが気になりすぎてワクワクします!! 更新楽しみにしています (2021年2月26日 16時) (レス) id: fc408fc325 (このIDを非表示/違反報告)
Not there-蒼狐-(プロフ) - とても面白かったです!更新待ってます! (2020年3月25日 6時) (レス) id: 82c90f34f8 (このIDを非表示/違反報告)
crossmarian4272(プロフ) - 凄くいいです!主人公が惨殺したシーンは思わず泣いてしまいましたがオビトのお陰で少しずつ人間味を戻しつつあるので嬉しいです。これからの展開が益々楽しみです! (2020年2月5日 21時) (レス) id: 6865c6b442 (このIDを非表示/違反報告)
アイ - とても面白いです!更新待ってます! (2019年7月12日 21時) (レス) id: 4b9552c10a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤成 | 作成日時:2019年5月28日 1時

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