40「別れと告白」 ページ40
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カカ「もうあまり時間がない。話しておきたいことは?」
『そうですね…。木の葉に来れて良かったです。素敵な仲間と会えて、ここで育ったこと誇りに思います。私を拾ってくれてありがとう、カカシ先生』
カカ「そう思ってくれるなら、良かったよ」
俯き気味に目を細め、先生の安堵と寂しさを感じる。
『あと、これだけは伝えておこうかな』
カカ「なんだ?」
一息ついて、寂しさや不安を一度手放す。
よし、今の私には先生の目しか見えない。
『私、カカシ先生のことが好きです』
数秒、いつもの半開きな目。それから徐々に見開いていく。
やっと言えた。伝わった。
これを言ってどうなりたいとかなんてない。
先生がどう思ってるかは答えてもらわなくてもいい。
とにかく大切な気持ちを知っていて欲しいだけ。
『さっ、もう行きましょっか』
リュックを背負って玄関を開ける。
カカ「あ……、……あぁ」
とても戸惑ってる先生を置いていくように歩いていく。里を出る道をじっくりと見渡す。色んな思い出の詰まった道。いい思い出がいっぱいあって、幸せな気分になる。
出口の近くには波の国の任務の後先生に慰めてもらったベンチがある。
懐かしいなあ。
カカ「俺はここまでだよ。額当てを渡して」
結び目を解いて先生に渡す。
先生は受け取った後、腕を開いた格好をした。
何してるんだろう?
カカ「抱きついとかなくていいの?」
ゆっくりと近づいて腕をお腹にまとわせた。
ああ好き。
笑顔と涙で顔がくしゃくしゃになりはじめる。
大好きな人の体に、顔を埋めるようにギュと抱きつく。
よしよしと頭を撫でてくれる。包容力の塊か。
私がもっと大人だったら、先生も振り向かせれたのかな、なんて妄想のような希望を浮かべる
カカ「もう一度言うけど、待ってるよ」
待ってるって? どっちの意味で?
さぁな、なんて誤魔化されてしまう。
好かれた方はズルいよね。まったく。
いつまで経っても満足できそうにないから、この辺で離してあげようかな。
さよならを言う前にこれが本当の最後。
『先生!みんなに伝えてといて下さい』
「 」って。
カカ「わかったよ」
里の門から出る。しばらく歩いたところで振り返ると、先生はそこでずっと見送ってくれていた。振り返っても門すら見えなくなると、本当に1人になったのを実感する。
今日は新月だし大きく照らしてくれるものがない。寂しいな
霧隠れの迎えの人との合流地点まで、星を数えながら歩いた
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石セー(プロフ) - じゅりさん» じゅりさん初めまして!読んで下さってとっても嬉しいです^ ^ありがとうございます!更新頑張りますー! (2019年5月20日 21時) (レス) id: 34e5e194e4 (このIDを非表示/違反報告)
じゅり(プロフ) - 初めまして!更新楽しみにしてます頑張ってください! (2019年5月17日 6時) (レス) id: 9e6c1be654 (このIDを非表示/違反報告)
石セー(プロフ) - 名無し65455号さん» 初めまして、コメントありがとうございます。読んで下さってる方がいるんだなあと実感して感動しています。随時更新して行くのでよろしくお願い致します^ ^ (2019年4月3日 22時) (レス) id: 34e5e194e4 (このIDを非表示/違反報告)
名無し65455号(プロフ) - 初めましてこの作品読んでみて楽しみにしていますこれからも更新頑張って下さい! (2019年4月3日 13時) (レス) id: 1e5a33a9df (このIDを非表示/違反報告)
石セー(プロフ) - 咲空さん» コメントとっても嬉しかったです。ありがとうございます!おかげさまで少し自信を持てました。主人公設定まだまだあるので楽しみにして頂ければ幸いです^^ちょうどプロットを練り直していたので更新が止まってしまいました。近々更新を再開します。 (2019年4月2日 16時) (レス) id: 34e5e194e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤成 | 作成日時:2019年3月10日 16時