2.5「仲間殺しのカカシ」 ページ7
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わたしの中に、恐ろしい力を秘めた尾獣が
腹の中で早く、出させろと蠢いている。
知らない存在が自分の中にいる、
自分じゃない何かに変わってしまいそうで怖い
このまま里に帰ってはいけない。
わたしは尾獣兵器として使われているのだ。
……。
わたしの決意は変わらない。
里を守るために
お願い、わたしを殺して!!!
『っ!!!』
ガバッ!!
夢…。まるで何かに見せられたような夢だな。
『ハァ…ハァ…、ん、ゴクッゴク』
大量の汗、喉が渇いて水を飲む。
夢で最後に見たのは白髪で口元を隠した少年に殺されるシーン。
カカシ先生に似ていた。
あの少年はいったい誰?
もし先生なら…あの先生は何者?
目が覚めて寝付けない。月を見に散歩に行くことにした。
なにも考えず歩いていつもたどり着く場所がある。
森の中、戦死した忍たちの慰霊碑だ。
『!』
先客がいた。背の高い男性の影。暗くてわからない…
カカ「だれだ? 出てこい」
『……先生、でしたか。Aです』
カカ「ああ、Aか。お前もよくここに来ていたな」
『え?』
カカ「先客がいるんじゃ仕方なく、譲ってやってたのさ。俺もよくここへ来る。Aはなぜここへ来てるんだ?」
『なんでだろう…。気づいたらここに来てしまうんです。誰かに取り憑かれたみたいに』
カカ「なんだそれ? Aって霊感あるタイプ?」
『んー、ひとりの子に関してだけなら…。まぁ謎です! 先生は忍界大戦…ですか?』
カカ「まあな。俺のかつての仲間と師がここに刻まれてる。俺みたいな歳はみんな経験してることだよ」
慰霊碑を眺める先生の目は、遠い昔を見ているようだった。
どうしても今日の夢のことが気になってしまう。
先生を疑っているワケじゃないんだけど…
『あの…こんなこと聞いていいのかわかりませんが』
カカ「なんだ?」
『先生は昔、仲間を……』
カカ「…仲間を?」
いや、失礼だよ。こんな質問やめだ
カカ「仲間を、殺したことがあるかって?」
『!!』
冷徹な目。背筋が凍る。
カカ「なんてこと聞くわけないか、ハッハッハ」
『そ、そうですよ先生』
今の目はまじだ。本当なんだ……。
明日の演習、こんな先生相手に大丈夫なのだろうか…?
それに、わたしに話しかける少女はもしかして、先生のかつての仲間??
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作者名:赤成 | 作成日時:2019年2月25日 11時