帰り、ホグワーツ特急 ページ25
そこで、わしはネビル・ロングボトム君に１０点を与えたい。
一瞬、ダンブルドアが何と言っているのか、Aは理解できなかった。否、スリザリン生全員がそうだっただろう。
ガンガンとグリフィンドール生と他の寮生の歓声が、頭に響く。
天国から地獄へ、とはまさにこのことだ。
「したがって、飾りつけをちょいと変えねばならんのう」
ダンブルドアが言いながら大きく手を叩いた。すると、グリーンの垂れ幕が真紅に、銀色が金色に、蛇の文様が獅子に変わる。
あっさりと変わる其れは、グリフィンドールが優勝したことを表していた。
学年末パーティーの後、試験の結果が返された。Aの結果は可もなく不可もなく……といった感じだった。詳しく言えば、中のちょっと上くらい。ミリセントも同じくらいだった。
マルフォイは、まあ、分かっていた。上の方だ。
パンジーは意外にも、中の下。クラッブも同じくらい。
ゴイルは本当にギリギリだった。どのくらいかというと、ゴイルが自分自身で青ざめるくらい。
これは風の噂で聞いたのだが、学年１位はハーマイオニーだったらしい。
そしてすぐに旅行鞄はいっぱいになり、反対に洋服ダンスはカラになった。
『休暇中魔法を使わないように』という注意書が、全生徒に配られた。「こんな注意書、配るのを忘れりゃいいのにって、いつも思うんだ」というフレッドだか、ジョージだかが言うのが聞こえた。
ハグリットが湖を渡る船に生徒を乗せ、そして、紅のホグワーツ特急に乗り込んだ。
スパン、とマルフォイがクラッブ、ゴイルとコンパートメントで話していると、戸が開いた。そこに立っているのは、顔をしかめているAと、ミリセント。
「ここ、良い？」
良い？ と聞いているが、良いよね、もちろん。という響きを孕んでいる。
マルフォイは思わず、コクリと１つ頷いた。
ありがと、と言いながらAとミリセントはドカッと、ゴイルとクラッブが開けた席に座る。
「グリフィンドール生の奴等と一緒じゃなくて良いのか？」マルフォイが恐る恐る聞く。
それに帰って来た答えは、なんとも物騒なものだった。
「だって、もし、今の状態で一緒になったら、何するか分かんないし」
呪いかけちゃうかもぉ、と冗談めかして言っているが、表情は本気だ。
「有り得なくない？」Aは腕を組みながら言う。
「普通、あんなことする！？」
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年8月6日 16時
