生徒の問い ページ20
真実とはとても美しく恐ろしい物であり、注意深く扱わなければならない。ダンブルドアはそう言った。
ハリーがダンブルドアに聞いたことは、全部で5つ。
1つ目は、そもそもなぜ自分はヴォルデモートに殺されるようになったのだろう。という物だったが、これにはまだ、答えられない、とダンブルドアは言った。
2つ目は、なぜクィレルは自分に触れなかったのか。という問い。これは、ヴォルデモートに理解できない、愛で見えない印をハリーにつけたから、とダンブルドアは言った。クィレルのように、憎しみ、欲望、野望に満ちた者、ヴォルデモートと魂を分け合った者はハリーに触れることができない、と。
3つ目は、透明マントは誰が自分に送ってくれたか、というもの。これに、ダンブルドアは、ハリーの父親がたまたま自分に預けてくれた、と目をキラキラっとさせた。
4つ目は、スネイプ先生が自分を憎むのは、自分の父親を憎んでいたから。それは本当のことだろうか。という事だった。ダンブルドアは、そうじゃな、と肯定をした。
「お互いに嫌っておった。君とミスター・マルフォイのようなみのだ。そして、君の父親が行ったあることをスネイプは決して許せなかった」
「なんですか？」
「スネイプの命を救ったんじゃよ」
「なんですって？」
「さよう……。人の心とはおかしなものよ。のう？ スネイプ先生は君の父上に借りがあるのが我慢ならなかった……この1年間、スネイプは君を守るために全力を尽くした。これで父上と五分五分になると考えたのじゃ。そうすれば、心安らかに再び君に父上の思い出を憎むことができる、とな」
まあ、と、そこでダンブルドアは小さく笑いをこぼした。
「他にも理由はあるじゃろうな……。例えば、教え子のミス・サトウにそのことがバレ、ハリー、君を助けるように言われたから、とかのう……」
「また、Aが？」
さよう、とダンブルドアは頷く。
「そなた達は最近話していないようじゃが……、それでも彼女は君達のことを案じておった。一昨日なんかは、わしにふくろうを送った後眠ったのか、ふくろう小屋で見つかってのう……」
思い出したのか、ふふふっとダンブルドアは笑った。
「先生、もう１つあるんですが？」
「もう１つだけかい？」
「僕はどうやって『石』を取り出したんでしょう？」
おお、とダンブルドアは言う。
「これは聞いてくれて嬉しいのう」
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年8月6日 16時
