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粉雪 ページ26

「離してください!」


『やだぁ、私も強い人と戦いたい』


そう言ってタケミチの腰にへばりつく。


「相棒が困ってます…やめてください佐藤さん!」


松野は私を妨げるようにタケミチから引き剥がそうとしてきた。


何だこの修羅場。


大きなクリスマスツリーの下で、ギャーギャーと騒ぐ私達を変なものを見るかのように人は通り過ぎていく。


流石に笑えないな。



「いくら佐藤さんでも、今日の決戦には連れて行けません!仮にも女子なんですよ?!」


…は?

松野の"仮にも女子"という一言に反応して私は、タケミチから離れてアイツの胸ぐらを掴んだ。



『オイオイ、松野くんよォ……こういう時だけ女子扱いしてくんじゃねェよ』


「…ひっ!」


『それも今の時代に男女差別かー?私も連れてけよ松野クン』



"私は核兵器並の戦闘力だろ?"


とそう言いかけた時、向こうから黒い特服に身を包んだ道化と死神が近づいてきた。


思わず、松野の胸ぐらをパッと離す。


「あれ?Aちゃん何でここにいんの?」


「……キモ」



私の姿を見た瞬間、不思議そうな顔をする半間とイライラし始めた鉄太くん。


まさか、コイツらも決戦とやらに参加するつもりじゃ?



『そっちこそ特服なんか着てどうしたのぉ?』


コテっと首を傾げて2人にそう聞く。


鉄太くんがいるわけで好感度アップのために、可愛い性格を取り繕う。



いきなり態度を変えた私を見て、松野とタケミチはドン引き。


いてこますぞ。



「ははっ、Aちゃんいるとかダリィ…もしかして決戦着いてくるとかねェよな?」


『……ん〜、分かんなぁい』



その瞬間半間はチッ、と舌打ちをして突然私の頭を掴んだ。


「着いてきたら絶縁な」


『えぇ…』


やけに半間の低い声が耳に残る。


うんともすんとも言わなくなった私を見て、半間は満足そうに笑うと鉄太くん達を引き連れてどこかへ行ってしまった。


ポツンと残された私は、クリスマス特有の光に覆われた街並みをとぼとぼと歩く。



半間にあんな事を言われたのは初めてで少し悲しかった……


って、んなわけねェーだろ?


『冗談キツイぜ半間くん』


お前、仮にもこのAちゃんの幼なじみだろうが。


図体だけヒョロ長くなって、脳みそ成長してない?


私の事何もわかってねェよ。


あんな事言われちまったら、こっちは寧ろやりたくなっちまうだろ。


という訳で私は今、アイツらの後を追って決戦場へと向かっている。

絶縁上等。

最低クソ女→←クリスマスだってばよ



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のの - 三途出たら面白そう (2023年4月26日 23時) (レス) @page9 id: 45d6e93948 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 三途も出て欲しかったです (2022年12月18日 14時) (レス) @page8 id: d85abe7ad7 (このIDを非表示/違反報告)
奈々子 - ヒプマイバージョンも作って欲しいです飴村らむだにあわせたらぜったいおもしろそう (2022年7月31日 10時) (レス) @page15 id: 2f5361bf3f (このIDを非表示/違反報告)
M - ぶりっこかーうわぁって思いながら読んでみたら5ページ目で惚れましたありがとうございます (2022年6月30日 2時) (レス) @page5 id: 0bd2a9d625 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいんせちあ(プロフ) - あ"ーーーー!!!気になるぅ!!!! (2022年6月19日 18時) (レス) @page47 id: 2e29fc010d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2021年9月21日 22時

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