フィーリング ページ9
2人が去って行った後を暫く眺めていた。
歩くマライアさんとホル・ホースさんの背中が少し寂しそうで罪悪感がどっと募る。
いや、何か申し訳ない。
本当に申し訳ない。
けれど、私はきっと間違った選択をしていないと思う。
あのまま2人のどちらかについて行って、ジョースターさん達を倒すのを手伝っていたらきっと私は後悔する。
生まれてこの方、戦いなんてしてこなかったんで!
これからも平和で行きたいっす。
マライアさんは明日にはもうカイロを出て、ジョースターさん達を倒しにルクソールという都市に向かうらしい。
ホル・ホースさんも……かと思ったら彼は違う相方を探しに行くという。
おかしなものだ。
どちらも協力出来る相方を探しているのならば、マライアさんとホル・ホースさんが組めばいいのに。
というか、マライアさんは1人でジョースターさん達の相手をするつもりだろうか。
ジョースターさん達の事は分からないけれど、確実に仕留めたいのなら4、5人で向かえば良くない?
ちょっと、そこら辺は謎だわ。
2人が見えなくなったところで、私も回れ右をして歩き出した。
ジョースターさん達とやらがDIOの敵なのだとしたら、きっと主人公辺りだろう。
それだったら、余計加担なんてできない。
どっちつかずで、マジで申し訳ない。
心の中で、特定のない誰かに盛大に謝る。
と、いくつかの束になって濡れた前髪がピタリと額に落ちてきた。
泥水に浸かって、お風呂上がりみたいにべしょべしょになった前髪。
さっき後髪と一緒にかきあげて、退かしたばかりなのにすぐにパラパラと落ちてくる。
私はもう一度前髪を掬い、後髪と馴染ませて額から追っ払った。
考え事をしながら歩いていると、すぐに自宅が見えた。
自宅と言っても仮屋だけど。
昔の切符売り場のような小屋、家の至る所にヒビが入っていて屋根も何処と無く歪んで見える。
確かに、DIOの言う通りかなりのボロ小屋なのかもしれない。
でも全然気にならなかった。
古かろうが建物という存在があるだけで、安心出来る。
『…………。』
一刻も早くその安心できるお家に入って、シャワーでも浴びればいいのに、何故か私は右へ歩いた。
どうしたのか自分でもよく分からないが、家がある方向とは逆へ。
寄り道して帰りたいにしても、右に曲がって行き着くところは1つだった。
左へ行けば家が。
そして、右にはあの壊れかけの街灯がある公園が。
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年9月5日 23時