dor ページ25
「.....何しに来た」
『理由は特に』
夜になって私はDIOの館に向かった。
別段用もないのに何でここに来たのかは、自分でもよく分からない。
用もなく人様の家を訪れるのは、やはり変だったかもしれない。
『え、DIOの方こそ何処か行くつもりだった？』
タイミング良く館の門の前で鉢合わせてしまった私達。
DIOが館の門の外にいるってことは、明らかにこれから出かけるって事だよね？
まぁ、用事があったのなら大人しく帰りますけども。
少し会いたかっただけだし。
私を見下ろしているこの居丈高な吸血鬼を見て、ぼんやりとそんな事を思った。
「その予定だったが、貴様が来てしまったなら仕方がないなァ……」
『という事は？』
「今回は貴様を優先してやる」
ニヤニヤとも捉えられる微小がDIOの口角に歪んでいた。
何がそんなに面白いのか。
もしかして私がわざわざ会いに来たことに喜んでます？
何だったらDIOさんが言うその"用事"ってのは、いつものように私に会いに来ることっすか？
なーんて言ってみようと思ったが、その言葉は飲み込んで心の隅にしまった。
自意識過剰だと思われたら困るし。
代わりに...
『優しいね』
と一言添えて、都合よく近くにあったベンチに座った。
少し遅れてDIOも私の隣に座ってきた。
あれ、何かDIOさんいつもより若干距離近くね？
いや、もしかしたらベンチが狭いだけかもしれない。
『………』
背伸びをするように腕を上げて空を見上げると、ビルの上に十三夜の月が浮かんでいた。
ソイツはひたすらに寡黙で、揺らぎなく夜空のひとつの場所に自らの位置を定めている。
それにしても今日の月は日の丸のように朱くて、まるで隣にいる"自称帝王"の瞳のようで＿＿＿
『月が綺麗ですね』
と、私は思わず呟いていた。
言わずもがな、これは夏目漱石のエピソードを借用した愛の告白なんかじゃない。
事実として本当に月が綺麗だから言ったのだ。
しかし、この言葉に対してDIOがどう返して来るのか少しだね気になった。
DIOは私の方を向くと、せせら笑うかのように口角を上げていた。
何なんその表情。
そしてDIOはビシッと私の頬に指を突き立てると、言った。
「フン、このDIOはまだ死なんぞ！」
『痛い痛い、指が頬にめり込んどる！』
「"死んでもいいわ"なーんて言うと思ったか、このマヌケ」
私はまだ死にたくありません="月が綺麗ですね"の告白を断る時に使うセリフ。
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (
レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光と慈雨
| 作者ホームページ：http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2022年9月5日 23時
