リバーシブル ページ26
『あははっ、残念!振られてしまった』
「他に何か期待でもしていたのか」
『いいえ、全く』
"そういう事じゃないけど"と少し不貞腐れたようにAは呟いた。
冗談でも、もう少し乗ってくれてもいいんじゃないかと思っていたからだ。
しかし、この傲慢吸血鬼に振られたからと全然気にする様子も見られない。
『あっ、そう言えばお前ジョースターさん達に何やったんだよ!今日買い物してたらあの人達に出会っちゃって大変だったんですけど』
「何…ジョースターだと?」
Aが今日あったことを話そうと、ジョースターの名前を出した途端DIOの表情は変わった。
口角が下がり、眉あたりに嫌な線を刻み.....いかにも忌まわしそうな顔つきだ。
"不愉快"
この表情に名前をつけるとしたらこれが1番的確であろう。
『あの人達、DIOのこと必死になって探してたよ。私がDIOと関わりあるって知った途端……"場所は何処だ?"とか"お前はスタンド使いか?"とかしつこく聞いてきて』
「アイツらに何かされたのか」
『いやいや、途中でホルホースさんとボインゴくんが来て助けてくれました』
"ホルホースさん達が来なかったら軽くボコされてたかもね"
巫山戯たようにそう言って彼女はクスクスと笑った。
AはDIOにも笑い返してほしそうな視線を送ったが、依然としてDIOは不機嫌のままだった。
まるで、不愉快さをできるだけ表したいとでも努めているかのよう。
『で、絶賛仏頂面のDIOくんに質問なんですけど!ジョースターさん達に恨まれるような事でもしたの?そもそも何でDIOって追われてんの?』
Aの欠点、いや難点と言えばこれであろうか。
このジョジョの奇妙な冒険と言う漫画.....ジョースターとDIOの因縁の物語を知らない彼女は彼らの関係性がイマイチわかっていない。
それを説明するには、まず石仮面...いやディオ・ブランドーの生い立ちまで遡らないといけない。
DIOは考えていたのだ。
"コイツに、この取るに足らないただの小娘にそんな事を教える必要があるのかと"
自分の過去を話すということは弱点を教えるよりも心理的抵抗がある。
そして、それは余っ程の信頼関係がなければ人になんか言えない。
DIOは優秀な自分の部下ですら信用しないというのに、どこぞの馬の骨ともわからない少女にこんな事、教えるわけが無い。
そう、本当ならば教えるはずがないのだ。
「いいか、私は貴様の事を信用しているわけではない」
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年9月5日 23時