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痛いセリフ ページ12

『眠い……』


「おい寝るな。私の相手をしろ」


『子供かよ』


Aはウツラウツラと目を瞑ったり開けたりして、眠気と戦っていた。


少し右に頭を傾けるとDIOの肩があって、自然と寄っかかってしまう。


『安定感すごいね、君の肩』



現在、夜の10時

普通の仕事帰りの人間であれば、この時間帯に眠気を催すのは当然だった。


『いいかい、DIOくん。私はね、今まで無料で君に私の大切な個人情報を渡してきたのだよ』



瞑っていた目を開いて、声を張るA。


彼女が何を言いたいのか、さっぱり分からない。


というか、今日はやけに親しいというか距離を縮めてくる。


何が目的だ?

と、若干の不信感と違和感を覚えながら、DIOはAの重たげな瞼を見つめた。



『何で私が真っ先に家に帰らずに、こんな汚れた格好をしてこんな時間に公園に来たのか分かるかい?』



彼女の白いTシャツにべっとりと付いた泥を見て、そして少し考える。



「…ブランコを漕ぎにきたのだろう?」



『全然、ちがーう…ッ!』


この閑静な公園な公園に似合わず、場違いな声が響いた。


何回か、木霊して反響して声が戻ってくる。


『なんでかって言うとね』


Aはブランコから勢いよく立ち上がる。


そして、DIOの目の前に来ると言った。





『DIOに会うためだよ』



ちょうど彼女の立った位置にライトが当たり、まるで恋愛映画のワンシーンのようだった。



「…………は?」


少し遅れてDIOが反応する。


その何ともロマンチックで、痛いセリフにDIOはザ・ワールドにかかったように固まっていた。



何を言っているんだ、この小娘は。


何処かに頭でも打ち付けてしまったのだろうか。


と、DIOは一種の心配まで覚えた。




『お前は私の情報を持っているのに、私はDIOの事を何にも知らない。唯一知ってるのは、年齢と種…あと性格』



"そんなのフェアじゃないよね?"


唖然としているDIOを見下ろして、ニヤッと笑う。


最早、彼女の顔に眠気の様子はなかった。



『だから、私もDIOのこともっと知りたい』


ギュッと冷えた彼の手を掴むと、Aは強請るように言った。



後のDIO曰く、あれほど恐怖を覚えたのはジョナサンに追い詰められた時以来とのこと。



「……そろそろ、朝日が登りそうだな」


『いや、全然登らないよ?というか日にちも跨いでないよ?』


「貴様も、もう帰って寝た方が健康の為だ」


『なんで今日に限ってそんなこというんだ!』

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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2022年9月5日 23時

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