名前 ページ35
『なんてこった……』
ボインゴ君が帰った後、私は干された雑巾のようにくたびれていた。
まぁ、子供に泣かれたら誰だって焦るよな。
自分から何でも教えると言っておいて、今になって後悔する。
もう、子供の相手は懲り懲りだ。
_______20分前_______
「……え、本当に何でも教えてくれるんですか?」
『も、勿論だよ!』
そう言うと、ボインゴ君はパァっと顔を明るくさせた。
うわっ、良かったぁ…!
取り敢えず泣き止んでくれたじゃん!
この時の私は、目の前の事を何とかしようとして肝心な事を忘れていた。
子供と言えども、あのDIOの部下であってずる賢いスタンド使いだと言うことを。
「ええっと、じゃあ…まず名前は分かるし性別は」
ポケットからメモ帳とペンを取り出して、独り言のように何かを言い淀んでいる。
まるで、刑事ドラマでよく見る"取り調べ"をされている気分だ。
「あの、性別って女性ですよね…?」
『当たり前のことを聞くんじゃない』
「そっか… Femaleと」
『いや、メモしなくていいよ?分かりきってる事だからね』
真剣な目付きでカリカリとペンを走らせるボインゴ君。
何なんだ、私が遠目で見たら男に見えるとでも言いたいのか?
「えーと、次の質問です!」
『はぁ…』
それにしても、この子供の無邪気さよ。
子供にカリカリしても仕方がない、そう思って私は誤魔化すようにぎこちない笑顔を作った。
「ずばり年齢は!」
『18歳』
「出身は!」
『ジャパンだよ』
「好きな食べ物は?」
『えー、何だろう…おにぎりとか?』
「何ですかソレは?」
『えっと、簡単に言えば海苔で巻かれたご飯?かな』
手で丸を作っておにぎりの形を再現してみたが、彼にはあまり伝わっていないらしく…
コテっと可愛らしく首を傾げていた。
確かにおにぎりは日本発祥の食べ物だから、海外にはまだ伝わっていないのかもしれない。
「それ美味しいんですか?」
『うん、死ぬほど美味いよ。今度作ってあげるね』
「本当ですか…!?」
私が適当な事を言ったら、目をキラキラさせてくるものだから"約束"というちゃんとした形になってしまった。
まぁ、いっか。減るものじゃないし
そんな他愛のない話を、箸休みのように挟みながらも質問は続行した。
「スタンドの名前は!」
『え、えっと…うーん。どうしよ、おにぎりとかでいいかな?』
「え、Aさん今決めました?」
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わるび - 読み始めました。ふたりも見守るキャラクター達も凄く可愛らしくて、家族が居るのに笑ってしまいました( *´艸`)素敵な作品を作ってくださり、ありがとうございます!ほのぼのと癒されました。 (2022年9月23日 20時) (レス) @page50 id: 08dad0f4f2 (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - 夢主さん・・・・頑張れ骨があったら拾っときます。 (2022年8月24日 14時) (レス) @page41 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人 - ツルツルピッカーん!!労宮を押すと確かに痛い (2022年8月22日 5時) (レス) @page37 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
ラウル(プロフ) - 夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人さん» 色々と嬉しくて禿げます(?) (2022年8月21日 15時) (レス) @page36 id: cb2141a780 (このIDを非表示/違反報告)
夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人 - ラウルさん作品とか関係ない、やりたきゃやればいいのです✨返信ミスではありませんよウフフ♥ (2022年8月21日 8時) (レス) id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年8月5日 18時