花 ページ6
「主、今日は誰も居なくならなかったよ
だから、一度でもいいから顔を見せてくれないかい?」
「主、今日は長谷部くんとお小夜が居なくなってしまったよ…
もう、あと10人くらいしか居ないんだ…寂しいくなってきた、また来るよ」
もう、一方的にしか話し掛けていなかった
誰かが居なくなると襖が少し開きその人数分の風車を差し出されるが、
口は一切開かなかった
彼女は一度だけ、外に出た
季節は冬になっており、外は人の手が加えられていない銀世界だった
「…雪だるま、作ろう。
雪うさぎも。
……寂しい、な」
そして、彼女は裸足で外に出た
足の感覚が無くなっても、服が濡れようとも、それでも作り続けた
「……ぁ、」
一通り作り終えた所で、また雪が降り出した
力を使い果たしたかのように雪に倒れ込んだ彼女は、
すぅ…と目を瞑った
「主!何をやっているんだ君は!?
風邪を引くだろう?!ほら、早く!」
慌てて駆け出してきたのは、歌仙だった
グイ、と手を引いて部屋に戻そうとする歌仙に、
彼女は何かを思い付いたように雪をかき集めだした
「さあほら!早く戻…」
バシュッ
歌仙の言葉はそこで途切れた
彼女が雪玉を作り、歌仙の顔めがけて投げたからだ
歌仙は俯き、肩を震わせたかと思いきや
地面の雪をかき集め彼女に目一杯ぶつけた
雪玉のように固めてはおらず、バラバラとした雪が彼女の上に降った
「…全く、君という人は!
もう知らないぞ、風邪を引いても!」
こうして、唐突にも雪合戦が始まったのであった
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作者名:なゆらー | 作成日時:2017年12月27日 17時