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それからというもの、彼女は寝ずに風車を折った
ちりめん折り紙を使い、それぞれの柄が被らないように…
そして、刀剣男士達との時間も
今まで以上に大切にした
短刀達にせがまれれば遊び、買い物にも付き合った
鍛練にも、茶会にも
ありとあらゆることを、彼女がやれることは全てやっていた
すると、消える者は居なくなった
が、また消え始めた
____そしてある時、その瞬間に立ち会ってしまったのだ
…刀剣男士が消える場面を。
「ご、五虎退…?
嘘、嘘、やだ、いや、」
彼女の目の前には、
グッタリとした虎に囲まれて息も絶え絶えの五虎退の姿が。
「…ッ…あっ…る、じ…さ、ま……」
とてもか細い声が彼女を呼んだ
「は、い…はい、五虎退、何ですか?」
五虎退を抱き寄せ、必死で聞き取ろうとする
「すごく、全身、が、い………痛い、です
あるじ、様、あ、りが、と」
話すにつれ嗚咽が混ざり、五虎退が泣き出した
途中まで話していた五虎退が、
突然糸の切れた人形のように動かなくなった
そして、生気のない瞳を向け、
涙を流しながらこう言った
「し、しに…たく、ない……で、す…」
そして、五虎退は小さな粒子となって消えてしまった
彼女の腕には温もりしか残らなかった
さっきまで無邪気に笑っていた小さな姿が、
虎が、跡形もなく。
「あ、あ…あ…あああああああああああ!!
いや、いや!ごめんなさい、ごめんなさい、何も出来なくて!
お願い、いや、ごめんなさい、ごめんなさい…!!」
彼女は大声で叫んだ
何も出来ない自分への戒めとして
腕にカッターを突き立てた
彼女は薬研の治療を拒み、自室に籠ってしまった
そして彼女は何処かが変わってしまった
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作者名:なゆらー | 作成日時:2017年12月27日 17時