居候がおりまして。ver.2【白膠木簓】

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「ふふっ。簓さんこっちに来た時と同じことしてる」




もうあれからどれくらい時が経ったのだろう。


長かったような短かったような。あっという間に時は流れてその特徴的な容姿も見慣れてしまったようだ。


一瞬冷や汗をかいた彼は目を丸くして、そしてゆっくりと笑った。





「しもたなあ。天才芸人簓さんとしたことが、こら天丼や」


「てんどん？」
「同じボケで笑いとるいうこと」
「あぁ」


「戻ったらもっとおもろいネタ考えんとなー！やらなあかんことぎょうさんやわー！」





んーっと唸って背伸びをする簓さん。



ある日、平凡な私の日常に彼が落ちてきた。

偶然にもその日は私が失恋した日だった。






「────簓さん。ありがとう」






自然と口から出た言葉に簓さんが振り向く。






「簓さんと居た時間は私にとってもトクベツだよ」






くだらないギャグで会話する時間も、

口喧嘩をする時間も、

朝のコンビニでのいってらっしゃいも。



貴方の一言で笑顔が溢れる。

ほら、今だって私は満面の笑顔で。






「………っ、」


「！………ささらさん？」
「ストップ」






さと目元を隠されれば肌に触れる感覚がまざまざと伝わってきた。


また抱きつかれたのか。


思ったよりも私の頭の中は冷静。首元を柔らかい猫毛が擽る。





「え、と…」


「今めっちゃ我慢しとるとこやから話しかけんで」
「我慢？」


「何もせんって言ったのに止まらんくなる」


「！？」





「Aちゃんが笑うの見るともうあかんわ」





頭で理解するよりも早く、私の心臓よりも速く、簓さんの心臓が脈打ったのを強く感じた。




神様ごめんなさい。

どうか私の好きな人を、連れて行かないで。




▼身体中が愛を訴えかける


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