私と白膠木さんのどつかれた日常譚 FINAL【白膠木簓】

▼tragic BIRTHDAY.2 ページ43

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「柊さん準備出来ました！！」




景気良く鳴り響く声。
これでもかと言うくらい何度も深呼吸をした。




「久しぶりのテレビなんだって？あまり固くならなくても大丈夫だよ」
「は、はい…！宜しくお願いします！」


「ははっ、緊張しすぎ。でもカップルサプライズに話題の君達を選んだんだ。期待してるよ」




番組プロデューサーが笑う。
そう言われてもこっちは何年ぶりかのテレビ出演な訳で、いくら幼馴染が話題の人気芸人だとしてもたじろいでしまう。





(だってこんな格好…っ)


「あ、あの。本当にこれでサプライズを…！？」
「あれ？Aちゃん何か着たいのあった？」
「いや！そういうわけではないですけど…！」





足元の通気性がいつもよりも気になる。そりゃモデルの仕事をしていれば際どい服も着てきたが、それはあくまで衣装としての話である。

ましてや今日みたいに全国ネットで生放送なんて、慣れないなんてレベルではない。





「あれAちゃんらしいよ」
「白膠木簓と付き合ってる子だ！？」
「シブヤディビジョンで撮影なのかな？」


「………〜〜っ！！

す、すみません！お水頂けますか！！」





大衆の面前で好き好んでこんな格好するのはパリピかコスプレイヤーなもの。生憎自分はただのモデルであって、カメラ以外の注目を浴びるのは苦手だ！！
緊張で干上がった喉を潤せば漸く息が出来るようだった。




「白膠木さん、あと15分程だそうです」
「じゃあAちゃんそろそろ準備してね」
「は、はい！」




そんなこと言ったって頭の中は不安と警戒心に苛まれている。
どうしてこんな仕事引き受けたの！
正直今後のためなら必要だともわかっているけど…。





「気づかなかったら殴る…！」





白膠木簓はゾンビナースに扮した彼女を見抜けるのか！



本格的な特殊メイクと緊張で顔色はますますリアルだ。血の気なんて一切ない。

ああ、本当に白目剥きそうだよ。


















シブヤディビジョンの言わずと知れた通りは、ハロウィンの仮装をした若者で溢れかえっていた。ドッキリにはうってつけだが、正直人混みも撮影も苦手で胃がひっくり返りそう。




「まもなくレポーターの白膠木さんがここにきます。柊さんは仮装したスタッフと一緒に白膠木さんのインタビューに答えて下さい」




勿論トリックオアトリートは忘れないように！と念押しされる。
たしかにそれを言わないと始まらないけど…。


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