居候がおりまして。【白膠木簓】

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「うわ、さっきよりしんどそうやん！」
「…っ、」




ほら大きな声出すから頭が痛む。勘弁してくれ。

コンビニ袋片手にずかずかと入ってくると、ベットの横にしゃがみ込んで私と視線を合わせた。




「ごほっ、バイトは？」
「休んだ」
「なんで」


「大事な相方が倒れてんのに呑気に仕事なんてできひんわ」


「相方になった覚えはない」
「どうせ水もなんも飲んでへんのやろ？ほら」




買うてきた。と手渡されたのは清涼飲料水。
悔しいけど弱った身体は素直で、力なくそれを手に取った。




「………うぅ」


「なん。開かへんの？貸してみ。…ん」
「…ありがとう」


「重症やん」
「寝てれば良くなるから大丈夫だって。ごほっ」




って根拠もなんにもないけど。でもいくらか喉が潤って呼吸がしやすくなった。


バイト休んだって言ってたけど…それはつまり看病するってことだよね？せめてうつさないように早く部屋を出てもらって、




「ふはっ、えらい顰めっ面」
「いたっ」


「また年上気取ろうとしてたやろ」
「そ、そういうつもりは…」




病人なんだからもっと優しくしてほしい。こづかれた額を抑えて視線を逸らすと、彼の手がそっとその上から重なった。





「こういうとこから甘えてみるのもええんちゃう？」





つい先日の休みに簓さんに言われたことを思い出す。

こう見えて弟達の怪我の面倒よう見とったから、看病は得意やで？
そう言って彼は懐かしそうな顔で私の頭を撫でた。









「自炊出来たんだ…」
「出来るけどせんかっただけ」


「いただきます。…あちっ」
「ふーふーしたろか？」
「いい。それくらい出来る」




やっと頭から捻り出した甘えは卵粥が食べたい、その一言だった。美味しい。誰かが作ったものを久しぶりに食べる。

私が黙々と食べる姿を彼はにやにやと笑いながら煙草を吸う。一応気を遣ってなのか、窓際で吸ってくれるから今日くらいは許してあげよう。




「次は？何してほしい？」
「なんで要求される側が喜んでるのよ」


「たまにはこういうのもええやん」
「じゃあ寝たい」


「添い寝なら得意分野や！」
「ちょ、意気揚々と布団捲るな！！！！」




えーって…大の男がそんなこと言っても可愛くないから。




「じゃあさ…簓さんの世界の話聞かせて」

「？俺の？」




無言で頷く。断片的には聞いていたけど詳しく聞いたことはなかった。折角時間があるのだから、たまにはこういう話もいいかもしれない。


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