いいわけ姫(RED) ページ26
「私も、遅刻したのに謝りもしないで…あの女の人にも悪いことしちゃった」
「怒ってなかった！俺が悪いのに土下座する勢いで謝ってくれて…ほんといい人」
今は見習い？だから髪は切れなくて今度昇格試験があるとか。
こんなに上手に切れてるのになんで昇格できないんだろう。
「俺がスタイリストになったらAを最初のお客さんにしたいんだけどさ…来てくれる？」
「もちろん！！嬉しい！…でも私なんかでいいの？」
「他に誰がいんの？」
「家族！涼介のとこ家族みんな仲良しじゃん！だから最初のお客さんは涼介を応援してくれてる大切な家族の方がいいんじゃないかなって！」
ハサミを動かす手はそのまま、時々少しだけ鏡越しに私と目を合わせて話してた
その涼介が突然手を止めて私の方に向き直ったからびっくりした。
「俺、Aのそゆとこが好きなんだよね」
「え…どゆとこ？」
涼介の言葉に顔が熱くなったのが分かる。
"可愛い"は言われ慣れていても"好き"の免疫は備わっていない。
思わず頬を隠すように手のひらで覆う。
「変なとこ素直っつーかなんつーか。ガキっぽい素直さ？普段は計算してるけど、ふとした瞬間に出てくるそーゆー性格が好き」
「ちょ、っと…よく分からない」
「そ？いつも"自分が自分が"なAが当然のことみたいに俺の家族優先にしたり。…お前って性格面がマイナスだからちょっとした優しさを感じるだけで『うおーすげー！』ってなるから得だよな」
「褒められてるのか貶されてるのかわかんないんですけどー」
私の後ろに移動した涼介。
走ったせいで絡まりまくった私の毛先を見て笑う。
「私だって、涼介のことほんとにほんとにほんとに大好きだよ」
「どゆとこが？」
「全部！！」
屈託ない笑顔でお腹を抱える姿に私まで口角が上がってしまう。
「Aらしいな。俺さ、案外ガキっぽいとこもあんのよ」
「うん」
「今日みたいに喧嘩しちゃうこともあると思うし」
「うん」
「年上の俺がしっかりリードしなきゃって空回ることもあると思うし」
「それでも好きだよ？私も言い訳しないように頑張る！だから切磋琢磨して悪い所直そ！」
「なんで上から目線で話まとめるの！切磋琢磨ちょっと意味違うわ！もー、ほんとAあほ」
「だって！」
「また"だって"。言い訳癖直すんでしょ？」
私の言い訳は続く。
End
ハイライトの山田くん
主人公が友情出演
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作者名：もぶ | 作成日時：2017年1月24日 15時
