いいわけ姫(RED) ページ25
自己中
自意識
わがまま
無責任
疲れる
振られ常套句
可愛さには自信があるものの、性格面には一切自信ない。
それすらも外見で補ってた。
"可愛い子って性格悪いよね"って言葉に甘えてた。
いつからか言い訳だらけで知ったかぶった素直じゃない子の出来上がり。
どうやって"ごめんなさい"したらいいの？
謝り方がわからないのが本音。
SNSの写真を見返す。
ネイルにご飯にアプリで加工した全身のコーディネート、自撮り、そして涼介と撮ったプリクラ。
友達からめっちゃかっこいい！って褒められれば褒められるほど浮かれて自慢しまくった。
かっこよくて優しくて美容師でおしゃれで…アパレルで働く私には高スペック。
最初はそれだけの不純な理由で涼介に近づいたけど…
「バイバイなんてやだ」
涼介とのデート用に新しくした赤のキラキラネイル
ソファにくしゃくしゃと丸められたデート用に新調した変形ワンピース
そして、涙でぐちゃぐちゃな顔したちっとも可愛くない私。
みっともなくても、可愛くなくても、ちゃんと謝らなきゃ。
こんなにも涼介のことが好きだから。
恋に恋してるって言われたって仕方ないかもしれない。
…てか恋に恋して何が悪いの？
好きなのは変わらないもん。
開き直り上等。
辿りついたのは代官山。
涼介がアシスタントをやってるヘアサロン。
やっぱり、涼介は人形の髪をちょきちょきと切り刻んでる。
こっちに背を向けてるから私には少しも気づかずに黙々とハサミを動かす姿。
いつも休みの日でも練習してるって言ってたからもしかして…って家じゃなく、店に来てみたのは正解だった。
そっとドアを引く。
鍵がかかってて開かない。
「りょ、すけ」
ドア越しに私の声が届かないと分かっていてもその背中に呼びかけた。
近いのにどこか遠い。
家を出る頃まで心のどこかにあった『きっと涼介なら許してくれるよ』な自信もどんどん隅に追いやられていく。
ぼろぼろだし、今日はやっぱり帰ろ。
くるりと踵を返して足を進めた。
「A」
涼介の少し甘い、優しい声が耳に届いて振り返る。
ドアに寄り掛かるようにして立つ姿もかっこいい。
いつもより少し下がる涼介の眉毛が可愛い。
ほら、こんなにも好きが溢れてる。
「涼介…」
「「ごめん」」
やっと言えた。
スタイリングチェアに座って涼介の手元を見つめる。
「Aをちょっと困らせちゃおうかなって…でもただの喧嘩になっちゃった」
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作者名：もぶ | 作成日時：2017年1月24日 15時
