第44話 ごめん ページ46
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母は、身体が弱い人だった。
そんな病弱な身体で私の世話をしていたのだから病に侵され、早くに亡くなった。
父は、底抜けに明るい人だった。
誰よりも母の死が辛かった筈なのに、そんな素振りを一切見せず、いつも笑顔で私を育ててくれた。
男手一つで、凄く大変だったと思う。だからきっと、
無理が祟って呪いに殺されたのだ。
祖母だってそう。病気であることを隠し元気なフリをして、あっさりと死んでしまった。
孝行なんて一度も出来ていない。
優しい家族だったから余計にそれが辛かった。
「…私は、これまで迷惑ばかり掛けてきたんです。最期も誰かの迷惑になんて、重荷になるなんて耐えられない。だから…」
五条「これ以上誰かに迷惑を掛けるぐらいなら死んだ方がマシ?」
先生の淡々と核心を突いた一言に、敵わないなあ、と
自嘲気味に笑う。
周りに座るお洒落な人達と雰囲気に溶け込めない疎外感を先程から勝手に感じてしまうのだが、これは平日の昼間に学生がいる、という一般的な理由ではないのだろう。
五条「それわざわざ聞くこと?」
「…こっちは真面目に、」
五条「だったら尚更でしょ。じゃあ僕が今『ダメ』って言ってたらAは死ぬ訳?」
だから、だから、それを聞きに来たんじゃないか。
仲間が死ぬのは嫌だ。何も出来ないのも嫌だ。
もう誰も死んでほしくない。慣れたくない。
「自分が知ってる人くらいは正しく死んでほしいって思うんだ」
私の家族のそれは、正しくなんてなかった。
自 殺願望がある訳じゃない。ただ、これから知る事実によって私の『正しい死』が決まる。
「長生きしろよ」
ごめん、虎杖。
私の生でそれが決まるのなら、死んで役に立ちたい。これ以上の迷惑は、掛けたくないのだ。
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ばる - えー覚えてくださってるんですか!ありがとうございます(^ ^*)少しでも作者さんの励みになっているなら嬉しい限りですよ(*´ω`*) (2020年7月28日 20時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» 見覚えのあるお名前と顔文字だと思ったらどちらも読んで頂いてるなんて…!!コメントとても嬉しいです!ありがとうございます。誠心誠意更新していくので宜しくお願いします! (2020年7月27日 17時) (レス) id: 619558bbc0 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 作者さんの別作品(銀/魂)も読ませていただいている者です。呪/術/廻/戦もすごく好きな漫画なので嬉しいです!どちらの作品も楽しみに待ってます(*^^*) (2020年7月26日 11時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2020年5月18日 23時