第6話 怪しい者ではありません ページ8
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病院に着いたのが五時過ぎ。あれからかなり時間が経ち、彼が出てきた頃には日が沈みかけていた。
待合室にいた人達も周りにはもう見当たらず、受付で何やら書類を書く彼に、待ちくたびれたと言わんばかりに伏黒が声を掛けた。
伏黒「虎杖悠仁だな。呪術高専の伏黒だ。悪いがあまり時間がない。お前が持ってる呪物はとても危険なものだ。今すぐこっちに渡せ」
虎杖「じゅぶつ…?」
見た様子から彼の心中は察するけれど、伏黒の述べた通り時間がないので致し方ない。
しかし、まぁ当たり前だが…突然"呪物"と言われてもピンとこない彼に伏黒が「これだ、持ってるだろ」と写真を見せ、答えを急かす。
虎杖「あーはいはい、拾ったわ。俺は別にいいんだけどさ、先輩らが気に入ってんだよね。理由くらい説明してくれないと」
「同じく高専の桜小路が教えてあげる。日本国内での怪死者・行方不明者は年平均一万人に超えるの。その殆どが人間から流れ出た負の感情、"呪い"による被害」
虎杖「呪いぃ?」
「信じる信じないは置いといて、特に学校や病院のような大勢の思い出に残る場所は呪いが吹き溜まりやすい」
辛酸、後悔、恥辱、etc……人が記憶を反芻する度、その感情の受け皿となるからだ。
だからと言って特級呪物をただの百葉箱に放置していたのはどうかと思うが、昔と今じゃ色々と勝手が違うのだろう。
「だから学校には大抵"魔除け"の呪物が置かれる。君が拾ったのもソレ」
虎杖「魔除け?ならいいじゃん、何が危険なの」
「魔除けと言えば聞こえはいいけど、より邪悪な呪物を置くことで他の呪いを寄せ付けない、毒で毒を制す悪習なの」
伏黒「現に長い年月が経ち、封印が緩んで呪いが転じた。今や呪いを呼び寄せ肥えさせる餌。その中でもお前の高校に置かれていたのは特級に分類される危険度の高いものだ。人死にが出ない内に渡せ」
虎杖「いやだから俺は別にいいんだって。先輩に言えよ」
長い長い説明を終え、納得したのか未だ分からないが小さい木箱を投げ渡され、伏黒が箱を開け確認する。
__が、箱の中身は空だった。
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ばる - えー覚えてくださってるんですか!ありがとうございます(^ ^*)少しでも作者さんの励みになっているなら嬉しい限りですよ(*´ω`*) (2020年7月28日 20時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» 見覚えのあるお名前と顔文字だと思ったらどちらも読んで頂いてるなんて…!!コメントとても嬉しいです!ありがとうございます。誠心誠意更新していくので宜しくお願いします! (2020年7月27日 17時) (レス) id: 619558bbc0 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 作者さんの別作品(銀/魂)も読ませていただいている者です。呪/術/廻/戦もすごく好きな漫画なので嬉しいです!どちらの作品も楽しみに待ってます(*^^*) (2020年7月26日 11時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2020年5月18日 23時