23. 過去編 ーエレメントー ページ24
月日が経つにつれ、段々と宗くんと日々樹くん、朔間さんは他の2人と合わせて五奇人と呼ばれるようになっていった。
相変わらず精力的に活動しているValkyrieからはよくプロデュースを頼まれていた。
私は宗くんから与えられた仕事を淡々とこなす日々を過ごしていた。
彼から声をかけられたのは、そんな時だった。
「新設されるプロデュース科の試験生徒とは君のことかい?」
「そうですけど、なにか」
私の素っ気ない返事も気にせず、彼はにこやかに微笑んでいた。
「お願いごとがあるんだけど僕の話を聞いてくれるかい?」
私が頷くと、彼はここではなんだからと教室から連れ出し図書室へと案内した。
「君に、僕が作るユニットの専属プロデューサーになって欲しいんだ」
案内された椅子に座るなり、彼はそう言った。
「悪いけど君のことは少し調べさせてもらったよ
君がここに来たのは、君のお父さんのことが関係しているみたいだね」
急に父のことを言われ、私の心臓が大きく脈を打った。
「…父を、脅しに使おうって話?」
焦る気持ちを悟られないようにわたしがそう聞くと、彼は小さく微笑んだ。
「そこまでとは言ってないさ
でもこれはwin-winだと思わないかい?
君がプロデュースしたユニットが夢ノ咲の頂点に登りつめ、そして学院を改革する
君が功績をあげたとなると君のお父さんも君を放っておいたりしないだろうね」
「父は私と母のこと、ひた隠しにしてたはずだけど?」
「ああ、申し遅れたね
僕の名前は天祥院英智だよ」
なるほど、芸能界に精通している天祥院財閥となれば、父の隠し事なんてすぐに見破れるということか。
「…何を企んでるの?」
私がそう聞くと、彼は少し真面目な顔をして答えた。
「僕は夢ノ咲学院を革命する
といっても、そんな晴れ晴れとしたものではないけどね
今や夢ノ咲学院は地に落ちかけている
僕は夢ノ咲学院の頂点に上り詰め、この学院を変える」
「革命、ね………」
まるで子供が語る夢物語みたいだなんて心の中で笑った。
でも、彼は本気の眼差しを私に向けていた。
「いいよ
私は何をすればいいの」
「ありがとう
基本は契約書に書いてあるからその通りに仕事をこなしてくれればいい」
「わかった」
こんな廃れた場所で彼の目は誰よりも野望に満ち溢れていた。
渡された書類に自分の名前を書くと、彼に渡した。
「これからよろしくね」
彼はそう言って書類を受け取った。
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chika(プロフ) - もち明太さん» コメントありがとうございます!渉との関係性がとても重要なのでそう言って頂けてとても嬉しいです…!更新頑張ります!見守っていてくださると嬉しいです (2021年6月9日 0時) (レス) id: f3305d13ec (このIDを非表示/違反報告)
もち明太(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。好きすぎてびっくりしました…渉が…渉が好みすぎて……。ご無理のない範囲で更新頑張ってください(*^^*)応援しております (2021年6月7日 23時) (レス) id: c849447eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chika | 作成日時:2020年10月24日 1時