半妖のかぐや姫《ぬらりひょんの孫》第4章 (ページ39)

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第137夜-絶対死なない- ページ39

《Aside》

'わしでは守りたくても、守れないからじゃ'

お婆様は嘲笑うように言う。

何だかその言葉は、頭の中に響くように、胸の奥をえぐられるように言われた。

私はただ唖然としていた。

A『っどういう意味ですか。』

十六夜『そのままじゃ。わしはもう年老いた。

晴明みたいな化け物と戦う体力なんて。

もうとっくに残ってないのじゃ。』

A『でも！一緒に暮らすのは？

私が組の三代目になるのはダメなんですか？』

十六夜『…』

A『っ…お婆さっ！』

私はお婆様に腕を引かれて胸の中におさまる。

顔を上げようとするとしっかりと腕で抑えられたしまう。

よく見ると、腕は微かに震えていた。

十六夜『…もう、嫌なんじゃ。

愛する者がいなくなるのは。もう疲れたわ…』

A『っ！(そうだ…お婆様は、自分の手で祖父を殺めて、母さんも死んでしまって…)』

もし私もお婆様と同じ立場だったら、一生自分を恨み続けて生きていくと思う。

愛してた人を亡くし、選びたくない運命を選ぶ。

そして今度は守りたくても守れない自分を嫌いになると思う。

でも、それでも。

A『…私は、お婆様をおいて死にません。』

十六夜『っ！』

A『自分が標的なのは知ってます。

ですが、私は決めたんです。'死という運命'を選ばないことを。』

十六夜『っじゃが…』

私は腕が緩んだことに気づいて、顔をお婆様へ上げて、目線を合わせた。

A『それに、私は信じてます。リクオくんのことを。』

十六夜『っ！…そうじゃの…奴良リクオのあの顔、鷹巳火と同じように見えたのじゃ。』

A『お爺様とですか？』

十六夜『わしが羽衣狐になりかけてた時、あいつは、言ったんじゃ…

'十六夜、俺はこの組と、お前を守る為にここへ来た…'

だが鷹巳火はわしのせいで死んでしまった…わしも何回死のうと思ったか…』

A『…でも、死を選んでも残された人たちが悲しむだけです。』

十六夜『そうじゃ。わしもその意味に気づいたのじゃ。だから…

絶対に死ぬでないぞ、A。』

A『はい！絶対に…死にません。』

私とお婆様は笑い合った。

そうだ、お婆様や兄さん、そしてリクオくん。

信じてくれる人がいる限り、そして大切な者たちを守るために、私も戦うんだ。

自分の手でも、選びたくない運命を断ち切るんだ。

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