第113夜-私の代わりに- ページ15
《リクオside》
リ『あんたは、今でもAを想ってるんだな。』
撫子『娘ですもの。
ですが捨ててしまったことには変わりないです。
守るとはいえ、私は恨まれて当然のことを決断したんです。』
リ『Aに会ったのか?』
撫子『えぇ。屋敷で修行をしたので。
私は何も教えてませんが、ずっと見てきました。
あの子は確実に強くなってます。
陰陽師として、赫奕姫としても…』
確かにオレも思った。
土蜘蛛と闘う姿も今まで見たことのない力を感じた。
撫子『ですが私はあの子がいつか自分に恐れてしまわないか心配です。
赫奕という神に等しい妖の血にのみ込まれてしまわないか…っ』
リ『あんたが弱腰になってどうする。』
撫子『っ!』
リ『それに、Aがそう簡単に心折れる様な奴じゃねぇ。
覚悟持って京都へ来たんだ。
真実を知り、大切な物を守るためにここまで来たんだ。』
撫子『っ…そうね。あの子はそう言ってました…リクオ様にお願いがあります。』
リ『何だ。』
撫子『あの子を、Aを助けて下さい。
そして私の代わりにたくさん愛して下さい。』
リ『あぁ。Aは必ず助けに行く。
けどな、母親の愛情は、俺だけじゃあ注ぎきれねぇぜ?
それは、あんたの役目だ。
あいつだって家族との時間を埋めたいと願ってるさ。』
撫子『っ!リクオ様…』
リ『フっ)安心しな。あんたの娘は、俺が守ってやっから。』
A、待ってろ。
今助けに行く。
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奴良リクオと分かれた妖狐・撫子。
屋敷まで戻ると幹部の一人の雪斗が門の前にいた。
雪斗『撫子様!何処に行かれてたのですか!!』
撫子『…雪斗』
雪斗『分かっているはずです!!
貴方は'狐の呪い'のせいでもう動ける体ではないのです。
それなのに…っ』
撫子『だからこそです。』
雪斗『っえ…』
撫子『だからこそ、私は力が使える限りあの子のために使います。
この体が枯れようと…』
雪斗『撫っ!と、頭領…』
雪斗を抑えたのは頭領・十六夜。
その顔に雪斗も畏れて、屋敷へと入っていった。
そして今、十六夜と撫子の二人だけになっている。
撫子『っ…頭領。いえ、母様。』
十六夜『はぁ…止めても無駄のようじゃな。』
撫子『もう決めたことです。』
撫子はそう言うと、再び水晶の間へ足を進めた。
一人残った十六夜。
十六夜『鷹巳火、わしは間違ってないじゃろうか…っ』
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作者名:りっちゃ | 作成日時:2020年5月28日 11時