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拾壱 ページ13

『あとは、実際に実際に遣わないと分からないが...、きっとこの刀は、私を解ってくれる』
「決めたんやな。けども万が一合わない場合は...」
『ああ、分かってる。それでも名付けるよ』

***


「カネなぁらぁあるぞぉ」
「な!」
「なんだコイツは!?」
「その代わり..生き肝をよこせぇええ」
「「わぁああああ!?妖だぁ!!」」
「生き肝信仰の妖だぁ!!」

ビュワァッ...!
息をつく暇もなく妖が、屋敷に侵入した。
ある一定の幅で空気を歪ませて進んでいくのは、結果を通り抜けている証拠。

『"導け、白夜"』

ーシュッ

「生き肝ぉおおお」
『消滅(きえ)ろ、下衆が』

ーザンッ....!!!

「ギャァアアア...!」

無惨な現場に叫び声。
今や消滅したその妖を、なまえは抜刀の刹那に斬り捨てていた。
刀を腰に戻しながら、すぐそこに居る彼女を見やる。

『よーちゃん、だいじょうぶ?』
「ええ、大丈夫。なまえのお陰ですそれよりその刀は...」

以前持っていたのとは違う、という眼をしている珱姫に、なまえは近寄ると、抜いて見せた

『これは妖刀。妖を滅する為に作られた、所謂退魔刀なんだ。ただ私のは特別でね、陰陽師の力...つまり式神が融合されてるんだ』
「式神...」
『うん、秀元から貰った。そしてこれが、よーちゃんの。実は今日のお土産はこれなんだ。本当はよーちゃんにはこんなモノ持たせたくないんだけど、世の中がコレじゃあ、万が一で身を守れない。だから、貰ってくれないかな』

珱姫は差し出された刀となまえを交互に見ると、そっと手に取った。
そんな珱姫に複雑ながらもホッと息を吐くと、彼女の頭をひと撫でして立ち上がった。
それは慌ただしい気配を感じたからで...

ードタドタドタドタッ

「あああああ珱姫ぇえええ!無事か?!怪我はないか?!」
「お父上...」
「私の大事な娘が....!結界を張った陰陽師殿!!こんなのでは困る!」
『...』
「なまえ殿!」
『はい』
「お前はよう護ってくれた!これからも大事な大事な珱姫を頼んだぞ!」

...調子のいい奴。
全ては自分の為ではないか。
お前の為に護ってやる珱姫はいない。私は珱姫の為に珱姫を守るのだ

『...御意』

言葉とは裏腹に自室へと戻る珱姫の父親に呆れつつ、頭を下げる。一応、この家の主だから。そして顔を上げるとそのまま天井を見つめた

『(...秀元。この刀...思ったよりも扱い辛いかもしれん...)』

なまえの両脇に下げられた掌。そこには、赤く...まるで結界に弾かれた様な傷が出来ていた

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作者名:ばっちゃん | 作成日時:2018年1月27日 23時

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