106.伝えたい想い -よじゃ- ページ9
何から、伝えればいい?
何を、話したらいいのかな、お父さん、私元気に頑張ってるよ。
仕事も、良い人たくさん囲まれてね。
いつもたくさん助けてもらってる。
好きな仕事を、好きなだけして、毎日が充実してるって、気がするよ。
ご飯もちゃんと食べてるよ。
親孝行は…、あんまり出来てないけど…
お母さんもね、おばあちゃんたちと元気にしてるって。
忙しいけど、もっと連絡しなくちゃダメだよね。
ここにもなかなか来られなくて…
ごめんね、でもこれからはもっと来たいなって思ってるよ。
嘘じゃないってば。
お父さんに会うのが、こんなにほっとするって、思わなかった。
それが、分かったから。
お父さん、
あのね…お父さん…
心の中で、その名を繰り返して、伝えたいことがまだあるようで、それでもまとまらない思いに、諦めて静かに目を開けた。
後ろで見守るドンヘに振り返ると、気付いて少し、驚いた顔をしていた。
もしかしたら、少し、寂しい顔をしてしまっていたのかもしれない。
DH「…大丈夫?」
「大丈夫ですよ。…なんだか、言いたい言葉が、まとまらなくて…久しぶりだからでしょうか」
DH「…うん、分かるよ。言葉にするのは難しいよね」
日差しを遮るものが無いその場所は、じっとしていても、ぽかぽかと日差しが温かい。
彼を見上げる眩しさに、目を伏せたら、いつもより少しトーンの低い優しい声が、降りてくる。
DH「僕は、いつも、父さんありがとう、それだけ。
いつも見ててくれるって知ってるからさ、見守ってくれてありがとう、元気をくれてありがとう。たくさんの幸運を運んできてくれて、ありがとう。
…それだけで、いいかな、と思って」
照れくさそうに視線を逸らす、その横顔は、日差しの影になってよく見えなかった。
DH「…変かな?」
「変じゃないですよ。…とっても、素敵だと思います。ありがとうって…そうですね。そういえば伝えたことが無かったかもしれないです」
DH「そうなの?じゃあ、言っておかなきゃ!」
急に明るい声を上げたドンヘは、いつものひまわりのような笑顔を浮かべていて。
ほらほらヌナって、無理やり身体を墓前に向き直すように肩を動かされる。
その掴まれた大きな手も、強さも、どこか、胸を温める。
守られているような、その感覚は、温かく大きな愛にも似て。
「いつもありがとう、お父さん」
声にすれば、その想いは、今まで伝えた中で一番しっくりくる言葉になった。
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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時