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105.眠る場所(DH) -ちづ- ページ8

(DH)


車を停めたそこには、大きな桜の木。


DH「桜って、
一年中かけて、花咲く日を待ってるんだって。
蕾を付けて、花を咲かすそのたった一週間のために、一年中、準備してるんだって。
冬の寒い日も、ぜんぶ花咲く日のために耐えるんだって。」


思い出して話してみたけど、
今からお父さんのお墓に参るのに桜が頑張り屋さんだなんて話、
どうでもよかった。

少し、気まずくなって。
自分の空気の読めなさを悔やむ。


「そうなんですね。そう言われると、なんだか…すごいですね。」


優しいAはちゃんと返事を返してくれて。


DH「うん。まあどうでもいい話だったけど。」


「どうして。素敵な話じゃないですか。誰の受け売りですか?(笑)」


DH「さあ?トゥギヒョンかな。ヒョンはそういう話、好きそう。」


「ふふっ(笑)そうですね。」


DH「…。」


もっと、複雑な気持ちでここに来ることになると思ってた。
僕の想像では、なんかもう、泣きそうになってるAを、
無言でエスコートして。
お父さんと二人きりにしてあげよう、的な…


ちらり、見ると、目を合わせたAはにっこり笑って。


「いいお天気ですね。」


なんて。


素敵な笑顔。
早く、お父さんに見せてあげなきゃ。


ゆるく続く坂道の果てにあった駐車場から、
まだゆるく登る丘陵が続いて。
ぽつぽつ、並んだ墓石のうちの一つ、
地面に、黒い四角形の石がある場所。


ここが、

Aのお父さんの眠る場所。



3歩、離れたところから。
なんだか緊張して一応、様子を見る。


どうしよう、泣いちゃったら。

どうしよう、辛くなっちゃったら。


僕の心配は必要なかったのか、
Aは気にする様子もなく、こちらを見て。


「お花、いいですか?」


あ、僕が持ってたんだった。


僕もお墓の前に行って。
花をたむける。


僕の父さんと同じぐらいかな。
若くして、亡くなって。

病気だったって、聞いた。


Aは自分の右手にある形見の指輪をそっと触って。


「お父さん、」


話しかける。


「近くまで仕事で来たの。」


聞いちゃったら悪いかな。
どうしよう、どうすれば。


「ドンヘさんが、連れてきてくれたんだよ。」


DH「!」


Aがちらり、こちらを見て。
にっこり。


そのまままた、お墓に向かって。
今度はたぶん、心の中で。


静かに、お父さんと話してる。


僕はしばらく、そっと後ろにさがって。
Aとお父さんを、二人きりにしてあげた。

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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/  
作成日時:2013年2月26日 23時

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