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104.支える言葉 -よじゃ- ページ7

車内はずっと明るさに満ちていて。
ぽつりぽつりと交わす会話と、笑い声に、つい仕事の合間なんてことを忘れてしまうほど、この小さな旅を楽しんでいた。


こんなふうに、笑いながら、帰省が出来るなんて。

思いもしなかった。


懐かしい場所を見れば、忘れてしまっていた懐かしい記憶も蘇って、いつも身近に感じていた存在がいない事実に、胸が痛むから。


それが、こんなにも、穏やかな気持ちで、この街を眺めることが出来るだなんて。



不思議だった。



父の不在に、こだわり過ぎていたのは、追い詰めていたのは、自分だったのかな、って。

その不在を埋めてくれるたくさんの顔を思い出しては、心が温かくなる。

強くなる気がする。


そのきっかけを、ソンミンがくれたんだとしたら、とても感謝しなくちゃいけない。

彼がくれた言葉は、きっとこれからの人生で、どんなときも私を支えてくれるはずだから。


今、この心強さを強く感じながら、父の前に立つことが出来るなんて、これ以上無い、良いタイミングのような気がした。




途中で、たむけるための花を買いながら、車は、懐かしい道を進み、どんどん父のもとに近づいていく。


「父のところに行くのは、とても久しぶりなんです」

DH「そうなんだ、僕も遠いから、なかなか行きたいと思っても、行けないよね」

「今回もきっと誘われなかったら、行かなかったと思います。というより、行けなかった」

ちらりとこちらを見たドンヘは、そのままなにも答えずに運転を続ける。

「誘っていただいて良かったです。思ったよりもずっと、父に会いたいって、会いに来てよかったって、そう思えて」

DH「……うん」

「ドンヘさんはいつもタイミングが絶妙ですよね」

しばらく黙り込んだ彼は、なぜか照れくさそうに頭をかいて

DH「ヌナのこと、いつもちゃんと見てるから」

と、嬉しい言葉をくれた。
その優しさも、今なら素直に受け取れる気がして。


「ドンヘさん、いつもありがとうございます」

返した感謝に、彼は優しく笑った。



あの角を曲がって、細い坂道を登っていけば、もうすぐ父の待つ場所に着く。

人気のない駐車場。

その脇に大きな桜の木があって。


あの日は舞い落ちる花びらさえ、悲しい涙のように思えた、あの場所に立っても、

きっと涙は流れない。

早く父に会いたかった。

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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/  
作成日時:2013年2月26日 23時

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