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107.叫ぶ -ちづ- ページ10

しばらく黙って立ち尽くしていると、
不意にドンヘが口を開いた。

DH「…ヌナは、僕が守ります。」

その言葉に、驚いて。

何を言い出すの、と思ったけれど。
敬語だったし、明らかに目線を下に向けている様子を見て。


ああ、彼は父に話しかけてくれているのかな。


DH「ずっと守ります。ちゃんと守ります。
安心して見守っていてください。」


口の中で、つぶやくように言う。

言葉の意味もさることながら、
彼の表情が。

うっすらと、笑みを浮かべて。
私を守ってくれる、その笑顔を、なんだか神妙に墓石に向けて。


「…なんか、結婚相手でも連れてきたみたいな挨拶ですね(笑)」


思わず、茶化した。
ざわざわする気持ちを誤魔化すように。

彼はこの冗談に笑い出すかと思ったのに。
動じる様子もなく、

DH「本当だ。」


と真顔で言って。


DH「でも、本当の気持ちだから。
ちゃんと伝えられるときに、伝えておかなきゃ、でしょ?」


「…そう、ですね。」


ドンへの言葉は、当たり前だけれど、胸を刺すもので。


「私も、伝えられるときに、伝えておけばよかった。いろいろな気持ち。
…ありがとう、だけだって、もう何回言っても足りないはずなのに…。」


いつもなら、心の中だけでつぶやくのに、
今日はどうしてだろうか。


素直に口をついて言葉が出る。


父の前だから?

普段と違うこの状況がそうさせるのか、
この晴れ渡った空がそうさせるのか、

それとも、ドンヘの笑顔がそうさせるのか。



…私には、わからない。


DH「見てるよ、きっと。

ヌナのお父さんはヌナのこと、ずっと見てるよ。
だから、今何度でも言えばいいんじゃない?
お父さん、ありがとうって。

僕も一緒に言ってあげる。


…行くよ?
…お父さん!ありがとう!」


叫んだ声が、広い静かな墓地に響いて。
静かに消えていく。


なんだか少し、恥ずかしい気がするけれど。
気にする様子もなく、ドンヘが眉をさげて、
ん?と首を傾げる。


DH「はいっ、ヌナも!」

大きな声で、私を促す。

…ちょっと、恥ずかしいけど…。
ドンヘの笑顔に、騙されることにしてみようかな。






お父さん。

お父さん、私、思い切って大きい声で叫んじゃうけど、いい?(笑)


「お父さん!
ありがとう、大好きだよー!!!」


ありがとう。
大好きだよ。


言葉にすると、気持ちがあふれて。


思いがけず、こぼれた涙を見たドンヘが、
私をそっと抱きしめた。

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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/  
作成日時:2013年2月26日 23時

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