103.待ち合わせ -よじゃ- ページ6
そろそろ朝日が顔を出しそうな、まだほの暗い中、待ち合わせた駐車場に向かえば、聞かされていた車が停まっていて。
運転席にはドンヘが既に座っていた。
熱心にナビを操作している彼は、こちらに気づくことがなく、その窓をコンコンと叩けば、驚いた顔が振り返る。
「ヌナ、おはよう」
窓を開けながらそう言って、すぐに笑顔になった彼は、はっと思い出したように車を降りて、助手席のドアを開けてくれた。
その少し慣れない様子のエスコートに、優しさを感じて、ありがとうございます、と返せば、嬉しそうな満面の笑み。
彼が運転席に戻る間に、シートベルトをしていれば、乗り込んだ彼は、こちらを見るなり、気まずそうに動きを止めた。
「どうしました?」
DH「シートベルト…ごめん」
「え?」
DH「…僕がやってあげるべきだった…」
どんなお手本なんだろうって、彼のやりたかったスマートなエスコートはまるでドラマみたいで、つい笑ってしまう。
「そういうのは、デートの時に彼女にやってあげればいいんですよ」
返した答えに、曖昧な笑みと返事が返ってきて。
なんだろう、そんなにやりたかったのかな、って、仕方ないからもう一度ベルトのロックを外して、じゃあお願いします、と笑って手渡せば、少し照れくさそうにカチャリとバッグルを留めてくれた。
その顔はどこか満足気。
「ふふ、じゃあドンヘさん、行きましょうか」
DH「うん、あ!ごめん…」
結局またごめんが返ってきて。
ナビが設定出来ないという彼に代わって目的地を設定して、
サングラスはつけたくせに、シートベルトを忘れている彼にその事実を伝えて、
えーとまずはドライブに入れるんだから…と迷っている彼をゆっくり待って。
少しだけ運転に不安な気持ちを抱きながらようやっと出発した頃には、朝日はその姿をすべて見せていた。
しばらく走れば、見知った街並みが見えてくる。
「あ、あれ、私が通っていた高校です」
DH「え?どこ?あの山の上?」
「そうです。変わらないなぁ」
DH「ヌナってどんな高校生だったんだろう」
「そうですねー、どうすれば制服が可愛く着こなせるか、とか、校則ギリギリを狙って、勉強もしないで小物作ったりとか。そんなことばっかり考えてたかもしれないです」
DH「ヌナらしいね」
きっと可愛かったに違いない、なんて、お世辞を言う彼に、モテモテでしたよ、女子には!と調子を合わせて、笑い合う。
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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時