ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

131.何か(DH)-ちづ- ページ34

忙しくなった。


ここ数日、バタバタと急に決まった仕事がたくさんあって、
グループの人数もスタッフの人数も多い僕たちは、毎日ごった返しで移動を繰り返して。


あれから数日…
僕は毎日ヒョクのそばを離れない。


どうしていいか、わからないんだ。
毎日、毎日そのことばかり、考えるんだけど…


そうしていても、わからないんだ。


…本当はわかってることもある。


ほら、今、とか。


見てないふりして、見ちゃう。


ここ数日、忙しいのに時々こういう場面を見かける。
Aがソンミンに話しかけようとして、


…一瞬だけど、躊躇して。
タイミングをつかめないでいる。


仕事の用件はすらすらと話してるから…




きっと。
大事な話。



この前偶然聞いてしまった、Aがソンミンにもらった言葉のように。
きっと二人にしかない、何かがあって。


僕には、…いや、僕以外の人にも、入れない、何か、が。
あるんだ。


話しかけようとしたり、躊躇したりっていうのも、
きっとほかの人にはわからない程度で。


でも、僕にはやっぱり、わかってしまう。



Aは何か、

何かヒョンに話したいことがあるんだ。



「ドンヘさん。」

DH「ん？」


にっこりして。
僕に話しかけてくれる。


「この靴なんですけどね、ちょっと足場が悪いので、滑っちゃうかもしれなくて。
こっちのにしてもいいですか？」

DH「んー。」


にっこりして。
返事して。


「…？」

DH「ん？」

「いえ、その…」

DH「どうしたの？」

「…何でもないんですけど、その。」

DH「？？」

「大丈夫ですか？疲れ気味？」

DH「え…」

「いつもより少し、元気がないみたい。」


最近忙しいから、なんて言いながら、
心配そうに僕を覗き込んで、ふわりとほほ笑む。


DH「大丈夫。…ありがと。」


精一杯の、笑顔を作って。



ぴしって。
ぴしって、今、僕の中に閃光が走って。



何か、が、


僕にできないかな、って。



思った。




DH「…ヌナ、今日時間ある？」

「あるように見えますか？」

DH「見えない(笑)」


Aもメンバーも、ほかのスタッフも、
今最高に忙しくて。

衣装を合わせながら、それでも話しかける。



DH「時間。作って。」

「…何の時間ですか？」

DH「んー…あとで話す！」



好きだよ、ヌナ。

すごくすごく、好きだ。



僕の全部を使っても、
絶対に僕が、守りたかったんだ。


僕が、

その笑顔を守るために。




…できることはある？

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