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132.きっと起こるよ -よじゃ- ページ35

向かい合ったその優しい笑みと、強引な誘いの言葉を前にして、ふわりと記憶が蘇る。


あの、父を亡くして自分の想いを持て余していた、あの日も。
ソンミンの告白を断って、とても動揺していたあの日も。


「…でもいつ時間が取れるか」

DH「うん。約束。ね?」


そのひまわりみたいな優しい笑顔が、いつも私を照らしてくれた。


…どうしてだろう

心に強さが欲しい時、ドンヘはいつも私の前に現れて。
その笑顔でいつの間にか固まった心を解いてくれる。

繰り返して、いつも当たり前のように、だから。


「わかりました」


強引な誘いにも、つい折れてしまう。

もう、その笑顔を見るだけで、このさきの未来が明るくなるような気がするから。


DH「あは、ヌナが笑った」

「さっきも笑ってたつもりですけど」

DH「でも今のほうがいい笑顔」

「ドンヘさんが笑うから。私、その笑顔に弱いんですよ」

DH「そうなの?」

「 ドンヘさんの笑った顔を見ると、なんだか…いいことが起こりそうな気がして」

DH「…いいこと…」


呟いたドンヘは浮かべていた笑みを一瞬仕舞いこんで、けれどその変化を振り払うようなさらに大きな笑みで明るく断言した。


DH「きっと起こるよ」

「そうですか?」

DH「いいこと、絶対起こるよ。だって…ヌナがいつも笑っていられるように僕が守るって、ずっと思ってきたんだから」


言い切ったドンヘは、何故か潤んだような目で、今日一番の大きな笑みをくれた。









本番終わりの控室に、まっさきに戻ってきたのはドンヘだった。


「ドンヘさん、早いで…」

DH「ヌナ、今、時間作って!」

「え!?今ですか?でもこれから皆さんが帰って…」

DH「ごめん、ユニ、ジホ、あとお願い!」

ユニ「…いいですけど」

「そんなわけには、ちょっ…!ドンヘさん!」


有無を言わせない力でぐいぐいと腕を引っ張られて、足取りも覚束ないまま控室から出れば、そのまま人の波を縫うようにぐいぐいと進んでいく。
何事かと振り返る人の顔に焦りながらも、私以上に慌てているようなドンヘに、結局何も言えなくなって素直に付き従う。

辿り着いたのは、練習室のような一室で。
本番終わりのその部屋は人影もなく静まり返っていた。


DH「ちょっとここで待ってて」

「え?ドンヘさんは?」

DH「すぐ戻るから」


消えていった背中に、一体何事かと眉をひそめながら待ち続ければ、聞こえてきたのは一人分ではない足音と、聞き覚えのある声だった。

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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/  
作成日時:2013年2月26日 23時

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