ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

127.惹かれるところ　-よじゃ- ページ30

「へぇ、そうなんだ」

ﾕﾆ「あーもー、こんなのリョウクさんにも言ったこと無いのに！」


手短に語られたユニの恋心の発端に、思わず頬が緩む。
多分、とても真っ直ぐで情が深い彼女だからこそ、一見見えにくいリョウクの男らしさも優しさも、上手に見つけられたような気がして。


ﾕﾆ「…オンニは？男の人の、どんなところに惹かれます？」


ユニの問いかけに、一瞬戸惑いと共に鼓動が跳ねて、そのまま真っ直ぐにユニを見てから目を伏せた。


「…自分が、思ってもみないようなことを、教えてもらった時かな」


それも、とても大きな意味を持って、ずっと心がぽかぽかと温かくなるようなことを。

その言葉を思い出せば、いつでも強く一歩を前に踏み出せるような、

そんなかけがえの無い言葉を、彼にはたくさん貰った。


そうやって思い返せば胸が熱くなる。

これがただの感謝や尊敬だけでは無くて、心から、…愛おしい、と。


彼が自分にとって、特別な人だと、この込み上げる感情から理解する。



「…ソンミンさんが、…彼のことが、好きだって、気付いたの、本当に、…今更なんだけどね」


自嘲気味に零れた言葉に、ユニは眉を潜めた。


ﾕﾆ「今更って…どういう意味ですか？」


心底不思議そうな顔をする彼女に、自然と頬を緩む。
結局彼女には何も話していないから、意味が繋がらないのも仕方がない。

思えば、全部をひとりで抱えてきた。
それを下ろしてもいいと思えるのは、彼の言葉が自分に深く根付き始めた証拠で。


初めて誰かに話す、ソンミンからの告白を、彼から貰った言葉の数々を、自分の胸の内を。

ひとこと、ひとことを、声にして、カタチにする度に、いつの間にか自分の中で育った大きな想いを目の前で色付けしていくようだった。


聞きながら途中から涙ぐんだユニを見て、あぁ本当に優しい子だな、と思った。


頭の中で描き終えた記憶は、春の空のように明るく、とても眩しい、思わず顔が綻ぶような優しい余韻を残してくれた。

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