ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

125.優しい音(KH)-ちづ- ページ28

(KH)

SM「キュヒョナ、飲まない？」

普段と変わらない明るい表情で僕に誘いをかけたソンミンの、
その瞳が沈んでることに気付いてしまう。

KH「いいですけど、ヒョンの秘蔵のワインを出してください。」

にやり、悪い顔をして笑ってみる。


どうしたんですか、ヒョン？
いつもは何かあったとしても、僕に話そうとはしない。
だから少し、その誘いが嬉しくて。

二人で静かに、グラスを合わせる。

最近僕もソンミンも個人で仕事をするときが多くて。
Mの活動がないとき、韓国では一緒に居られる時間が少ない。


他愛のない話をして、
少し酔いが回ったころ。


SM「…苦しいんだ。」


やっとソンミンが僕にそう、言った。


KH「…。」

SM「僕はなんて我儘なんだろうって。そう思ったよ。」

KH「別に。我儘だとは思いません。」

SM「そう？勝手だよ。彼女の立場になって考えれば…」

KH「ヒョン。ギュがポッポしてあげましょうか？」

SM「ぶっっ(笑)。危なっ、噴きそうになった。
…お前、真顔で言うなよ、怖いな(笑)」

KH「じゃあぎゅってしてあげますね(笑)」

SM「ヤー！いらないよ！！」

KH「はいはい、かわいいから黙ってくださいねー。」

グラスを取り上げて。
暴れるソンミンをぐいぐい抱きしめる。

SM「あはは！(笑)お前、何なんだよ！(笑)」

KH「人肌が恋しい時期かなと思って。」

SM「もうっ！(笑)」

KH「…ヒョン、…苦しくても。
それは仕方ないです、好きだから。」


そんなこと、ソンミンにもわかりきってることだろうけれど。


SM「…。」

KH「こうして僕に話してくれる気になってくれて。
…嬉しいです。」

SM「なんだよ、もうっっ。」

やっと離すと、ぼさぼさになった髪を整えながら、ちょっと頬を膨らませる。

KH「…ふ(笑)」

SM「あーもう、お前は昔っからスキンシップが多いんだよ…」

KH「別に。いいでしょ。(笑)」

SM「いいけど、酔うと甘えん坊になるから最初は焦ったよ(笑)」

KH「かわいい弟だからいいんです。」

SM「自分で言うな(笑)」

KH「ヒョン、ギター弾いてください。」

SM「僕のために飲んでるんじゃないの？」

KH「付き合ってあげてるかわいい弟のリクエストですよ。」

SM「仕方ないな、もう(笑)」


言いながら、ギターを取り出してくれる。


その苦しさを、僕にはどうすることもできないけど。
こうして笑いあうことで少しでも、楽になればいいのに。


ぽろり、ソンミンが奏でる音に少しだけ目を瞑って。
ただ、そう思った。

126.部屋に表れる心情　-よじゃ-→←124.無二の親友(DH)　-よじゃ-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す