ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

124.無二の親友(DH)　-よじゃ- ページ27

(dh)


Aが、僅かに浮き沈みを繰り返していることも。


ユニと２人で帰ってきた時の目が少し赤かったことも。


周りが気付かないような些細な変化を、感じ取れてしまう自分に困ってしまう。



いつもなら、まとわりついて、彼女を無理やりにでも元気づけたいって思うけれど、


そんなことも出来ない。



今日も人肌恋しくて、ヒョクのベッドに潜り込んでいた。




EH「お前さぁ…」

呆れた声に、次に続く言葉を予感する。
部屋に戻れと言われれば、今日も嫌だとゴネるつもりだった。


けれど、なかなかやってこない続きに、こっそり視線を送れば、意外にも困った顔をしていた。

多分、自分よりもっと、つらそうな顔。



EH「言えないなら、せめて泣きつくとか、もう何だっていいから、ちゃんと出せよ」


深い溜め息が静かな部屋に大きく響いた。



DH「…ごめん、ヒョク」

EH「…いや、いいんだけど…」


言った先から後悔したんだろう、ヒョクが、ちらりと気不味そうな視線を投げた。

そのままいつものように、なんかテレビ観るか？と場を和ませようとする親友の優しさに、ここ何日もずっと甘えている。



DH「…分かってるから、ちゃんと」


ヒョクは答えを返さず、ただ黙って耳を傾けてくれる。

それも、優しさなんだ。

知ってる。



DH「…もう別に、これ以上どうこうしようとも、思ってないし…」



突然、想いを断ち切るなんて、出来るわけないけれど



DH「…なんでさ、もっと早く、気付かなかったんだろう…」



思い出の数がもっと少なければ、もっとすんなり割り切れたのかなぁ。




DH「もう、いいんだ、ほんと…」



ヌナが、笑っていて欲しい。



そう思ってきたはずだから。
今こそ、そこに気持ちを預け寄せて、潔く身を引くのが男だって、分かってる。
数日かけてやっとここまで来た。


DH「やっぱ、格好良い自分のままでいたいし」

EH「バカだなぁ、お前」

DH「なんだよ、ヒョク、冷たい！」

EH「詰めが甘いんだよ、いつだって」

DH「詰め？は？何が？」

EH「あんなヌナのどこがいいわけ？」

DH「やー！ヒョク！どこがって、全部だよ！」

EH「別にスタイル良いわけでも、顔が良いわけでも…」

DH「ヌナは綺麗だよ！何より優しくて、笑顔がすごく似合って、仕事だって弱音吐かないし、周りにだって…優しくて…もう全部が全部…」

EH「はぁ、泣き虫」

DH「ヒョクのせいじゃん！」


言い合う相手が優しく笑うから、僕はきっと強くなれる。

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